日本商工会議所は6月20日、「第5次エネルギー基本計画(案)」についてのパブリックコメントに対して意見書を提出した。同意見書では、「エネルギー政策の基本的視点(3E+S)」堅持を評価する一方、「エネルギーコスト負担抑制に対する考え方に依然として差異あり」と指摘。負担抑制のために、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の抜本的見直しなどを求めている。
エネルギー基本計画は、生活や事業活動に不可欠なエネルギーに関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るために政府が定める計画。第5次計画では、2030年に向けたエネルギーに関する基本的な方針と政策対応などを示している。
今回提出した意見書は、日商が昨年11月に取りまとめた「『エネルギー基本計画』の見直しに対する意見」を踏まえて作成。2030年に向けた基本方針として、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」「経済効率性の向上(Economic Efficiency)」「環境への適合(Environment)」「安全性(Safety)」のいわゆる「3E+S」の下でエネルギー政策の立案と実行を着実に進め、2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指す旨が明記されたことを高く評価した。
一方、エネルギーコスト負担の抑制については、「どの程度まで抑制するのかなど具体的な記述に乏しい」と主張。「『電力コストを東日本大震災前の水準に早急に戻し、その上で、さらなる電力コストの抑制を図るべき』という当所の主張とは大きな差異がある」とした。
また、「わが国が今後も経済成長を実現し、また、産業の国際競争力などを確保するためには、電力を含むエネルギーコストの負担軽減が不可欠」と強調。基本計画案に対しては、エネルギーコスト負担軽減を目指す姿勢に修正し、それに基づく施策を可能な限り速やかに展開するよう求めている。具体的なコスト抑制策としては、国民負担抑制を最優先事項に据えたFIT制度の抜本的見直し、安全性確保を前提とした立地自治体をはじめとした国民理解獲得に向けた活動の積極的展開など、原子力発電所運転再開へ向けた取り組みの強化などを要望している。
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