このコーナーでは、下請取引に関する「かけこみ寺」に相談があった事例を参考に、中小企業の取引上のトラブルや疑問点の解決の基本的な考え方および留意点を解説します。今回は「一般取引関係」の「契約通り実行してくれない契約の解除要求」についての相談事例をご紹介します。
提供を受ける役務の内容や、契約先の実態の確認を
Q.A社はネットショップで○○○を販売しています。B社はネット売り上げ上位ランキングを目途とするサービスを提供する業者です。契約内容は、利用料が1カ月1万5750円、期間が1年で、更新しない場合は書面で申し出なければならないというものです。口頭で3週間~2カ月で上位10社くらいになると言われました。
しかし、効果は全くなく、サービスを提供していないとも思えるため、解約したいのですが。なお、B社の会社の実態は分かりません。
A.B社はA社に対し、ネット売り上げ上位ランキングを目途とする債務を負っています。口約束も契約の内容になります(争いになりますと、言った言わないの対立が生じますので、細目も書面にした方がよいでしょう)。
本件は契約書に、「更新しない場合は書面で申し出なければならない」とあるだけで、中途解約条項はなさそうです。これはA社が解約権を放棄したとみられることもありますが、不合理な事情があれば解約が認められます。
B社はどのような仕事をしているのか、具体的な業務内容を聞くなどして調査してみたらよいでしょう。B社が何もしていないのであればB社の債務不履行を理由に契約を解除し、残金支払いをストップします。少なくともB社の登記簿謄本を申請し、所在地を訪ねるなど実態を調査してみてください。
<留意点> このような役務提供を内容とする契約は、どのような内容の役務提供か、支払いは何の対価かなど具体的に契約書に記載することが必要です(債務不履行責任を追求できます)。特に契約期間のある契約は、中途解約条項も必要です。 これらについて納得した上で契約をしますが、契約締結前に契約書を専門家に見てもらうこともよいと思います。また、B社の実態が分からないとのことですが、契約締結前にB社の登記簿謄本を申請したり、B社を訪問するなど事前調査も重要です。
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