一般財団法人バイオインダストリー協会、日本製薬工業協会などバイオ関連5団体はこのほど、批准国が50カ国を超え、10月12日に発効した名古屋議定書のわが国の批准について「内容を丁寧に検討すべき」とする要請書を取りまとめ、関係各方面に提出した。名古屋議定書は、生物多様性の保全ではなく、遺伝資源の提供国と利用国の利益配分に関する枠組みを定める国際的な取り決め。産業界との調整を経ずに採択されたため、内容があいまいであるだけでなく、遡及性などの問題点が指摘されていた。
バイオ業界では、過去にさかのぼって利益配分を求められる可能性があること、海外の遺伝資源を活用して生産活動を行っている中小企業が提供国から突然利益配分を求められる場面が想定されること、各国の対応が明確になるまで遺伝資源を利用する研究開発に支障が出ることなどの問題点を指摘。「各国の対応状況が蓄積され、遡及性が確実に否定される段階になるまで、わが国の批准は避けるべき」と強く求めている。