日本商工会議所の三村明夫会頭は2月10日、日本経済団体連合会の米倉弘昌会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事とともに安倍晋三内閣総理大臣を訪問。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の早期妥結を要望した。
まず、経団連の米倉会長が「日本経済が再び持続的な成長軌道に乗るためにはTPPが必要不可欠であり、今月開催されるシンガポールでの閣僚会合(2月22日から25日)が正念場である。安倍総理のリーダーシップを発揮して頂きたい」と述べ、安倍総理に要望書を手交。要望書では、「交渉が行き詰まる中、この状況を動かすためには、まず日米両国が柔軟性を高め、二国間交渉で合意することが不可欠」と指摘し、TPP交渉参加を決定した安倍総理に交渉妥結への道筋を切り開くため「再度の英断」を求めている。また、TPPによる地域経済への影響を念頭に、政府が打ち出している農業競争力強化に向けた施策を着実に推進することも要望している。
安倍総理との意見交換で三村会頭は、日商が説明会を全国各地で70回以上開催し意見集約を図ってきたことを踏まえ、「TPPは国ごとに異なる貿易・投資に関わる規則や手続きが簡素化・共通化されるなど中小企業にとっても大きなメリットがある」と述べた上で「今回の閣僚会合で合意できなければ交渉は漂流する」と危機感を示した
安倍総理はこれに対し、「要望をしっかりと受け止め、アジア太平洋地域における新たな経済圏を作るためのルール作りにおいて日本が主導的な役割を果たしていくとともに、わが国の国益を守り、増進していくため最善の道をとっていきたい」と応じた。
大筋合意に至らず「非常に残念」
なお、シンガポールで開催された閣僚会合では大筋合意に至らず、今後、交渉参加各国は市場アクセス分野などで作業を継続し早期妥結を目指す。また閣僚会合の結果を受け、三村会頭は25日、「非常に残念だ。可能な限り早期に貿易協定の交渉が妥結することを望む」とのコメントを発表した。
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