日本商工会議所は8月31日、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。8月の全産業合計の業況DIは、マイナス24・9と、前月からマイナス0・4ポイントのほぼ横ばい。調査期間は8月17~23日。全国423商工会議所が2981企業にヒアリングした。
調査結果では、夏休みの堅調な観光需要のほか、賃貸住宅など民間工事に持ち直しの動きが見られた。また、円高などによる原材料価格の下落や依然として低い水準の燃料費の恩恵を指摘する声も聞かれた。日商では、「個人消費の鈍い動きや、販売先からのコストダウン要請の強まり、慢性的な人手不足による受注機会の損失や人件費の上昇などが、中小企業のマインドを下押ししており、業況感は足踏み状況となっている」と指摘している。
業種別では、建設業は、住宅建設や設備投資に持ち直しの動きが見られ、改善。製造業は、飲食料品の好調な推移のほか、電子部品関連が上向きつつあるものの、工作機械、造船関連の受注が振るわず、ほぼ横ばい。円高や消費低迷により、取引先からの受注減や値下げ要請を指摘する声も多い。
卸売業は、飲食料品に動きが見られたものの、天候不順などに伴う農水産物の出荷量減少や価格上昇による採算悪化、金属材料などの価格下落に伴う売り上げ減少などにより、悪化。コスト増加分の価格転嫁の遅れを指摘する声もある。
小売業は、夏物商品や飲食料品が好調。一方、消費者の節約志向により、インバウンドを含めた高額品販売の苦戦や、猛暑による客数減少を指摘する声もあり、悪化した。
サービス業は、夏休みの国内旅行や帰省で宿泊業が好調だったものの、人手不足から受注機会の損失や人件費の上昇で収益が伸び悩んでいるとの声が多く、悪化した。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス21・4(8月比プラス3・5ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。観光需要や住宅建設が全体をけん引するほか、経済対策・補正予算による公共工事の増加、個人消費の喚起に期待する声が聞かれる。日商では、「人手不足の影響が大きな足かせとなる中、消費低迷や円高、海外経済減速の長期化を懸念する声は多く、中小企業においては、先行きへの慎重な見方を崩していない」と分析している。
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