日本商工会議所は5月13日、「『観光立国実現に向けたアクション・プログラム』の見直しに関する意見」を取りまとめ、同日、須田寬・日商観光委員会共同委員長が、太田昭宏・国土交通大臣、久保成人・観光庁長官に直接手渡し、意見書の内容の実現を要請した。意見書では、わが国が観光立国を実現する上で求められる基本的な考え方を「『国内観光』と『インバウンド』の両輪による観光立国の実現」「多様な旅行者に対応したハード・ソフト両面からの課題の解決」「府省庁や自治体の垣根を越えた推進体制の構築と計画的な取り組みの推進」「訪れて良し住んで良しの地域づくりと一体となった観光振興の促進」の4点に整理し、具体策を提言。政府・与党など関係各方面にも提出し、政府が6月上旬に改定予定のアクション・プログラムに反映させる。
日商の意見書を受け取った太田大臣は、国内観光をアクション・プログラムの柱の一つとする必要性について同意。公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」など国内外の観光客受入環境整備の重要性についても言及し、日商の意見書に理解を示した。
意見書では、アクション・プログラムに盛り込むべき具体的な事項として、まず、「地域発の観光の新しい展開」「多彩な産業の連携による地域資源のブランド化の促進」「広域的な観光振興のさらなる促進」「観光を通じた被災地復興の促進」など国内観光促進に向けた対応策を提言。広域観光については、ゴールデンルート(東京・大阪間)のような2地点間での観光ルートを3地点にした「観光トライアングル」の形成を目指した取り組みが有効との考えを示した。
インバウンドの促進に向けた海外への情報発信と受入体制の整備の観点からは、「日本ブランドの構築と官民あげての訪日プロモーションの展開」「外国人の視点に立った受入環境の整備」「航空ネットワーク等の拡充」「観光案内機能の充実・強化」の4点の重要性を指摘。特に、訪日客の目線で対応すべき事項として、「訪日ビザ発給要件の緩和」「出入国手続きの迅速化・円滑化」「旅行者向け免税制度の活用促進」などを強調している。
最新号を紙面で読める!