日本商工会議所は16日、「夏季政策懇談会」を都内で開催した。懇談会には、三村明夫会頭をはじめ、副会頭、特別顧問、常議員、委員会正副委員長ら約200人が出席し、重要政策課題に対する商工会議所の対応、地域活性化に向けた商工会議所のあり方などをテーマに集中討議を実施。法人実効税率引き下げの代替財源として検討されている外形標準課税の中小企業への適用拡大に商工会議所として断固反対する方針を確認した。
会合の冒頭、あいさつに立った三村会頭は、重要テーマとして消費税やエネルギーなど中小企業の負担が大きい分野や地域再生と直結する人口減少問題への対応などを指摘。「人口減少と人口流出の流れを変えるためには、商工会議所が重点的に取り組んでいる地域の再生が必要」との考えを表明した。
「重要政策課題における商工会議所の対応」を討議した第1部では、消費税について、8%への税率引き上げに伴う価格転嫁は概ね順調と評価。一方で、「10%の再引き上げに際しては、中小・小規模企業の状況をきめ細かく見極めるべき」との意見とともに、複数税率については懸念の声が相次いだ。
法人税率引き下げの代替財源として議論されている外形標準課税の適用拡大については、賃金課税であり、地域の雇用に深刻な影響を与えることなど反対意見が続出。中小企業への適用阻止を訴えていくことを確認した。
価格転嫁が進んでいない電力料金などエネルギーコストの問題については、「商工会議所として価格転嫁を促す方策を考えるべき」との指摘があり、国民負担の激増が危惧されている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度にも「ドイツではすでに破綻している」と制度見直しを訴える声が上がった。
人口減少問題への対応については、三村会頭から「危機意識を共有し、人口減少に歯止めをかけるという強い意志が必要。未来は変えられるはず」と問題提起。出席者からは、婚姻率を高める取り組みの推進、フランスを参考にした税制措置などの具体策が必要との考えが示された。
地域活性化に関しては、全国514カ所の商工会議所のネットワークを生かした観光振興の必要性や中心市街地活性化に粘り強く取り組むことの重要性が指摘された。
第2部では、商工会議所の活動の方向などについて3グループに分かれて集中討議。「商工会議所が連携の要となるべき」などの意見が多数寄せられた。
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