日本商工会議所はこのほど、3月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、「所定内賃金の動向(2015年度実績、2016年度見通し)」について、全国の中小企業にヒアリグした結果を発表した。2016年度の所定内賃金について、「賃金を引き上げる予定」の企業(全産業)は44・8%と、前年同月調査に比べ1ポイント増加した。
2015年度に「賃金を引き上げた」企業(全産業)は・9%だった。2016年度については、44・8%が「賃金を引き上げる予定」と回答した一方、「現時点では未定」は31・6%、「賃金を引き上げる予定なし」は23・6%となった。「賃金を引き上げる予定」の企業を業種別に見ると、卸売業(53・5%)が最も多く、製造業(52・7%)、建設業(49・7%)、サービス業(41・3%)、小売業(30・4%)と続く。
賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」(77・5%)が「業績が改善しているため(見込み含む)」(26・0%)を大きく上回っており、賃上げの理由が消極的なことが伺える。
ヒアリングした中小企業からは、「従業員の定着やモチベーション向上のために、賃上げだけでなく、長時間労働の是正や福利厚生の充実など労働環境の整備にも積極的に取り組んでいる」(運送)といった声が寄せられた一方、「売り上げが下降している中で、最低賃金の上昇に加え社会保険料の負担も年々重くなっており、賃上げは難しい」(食料・日用品小売)、「先行きが見通せないため、2年連続でのベースアップには踏み切れない」(衣料品製造)といった意見も聞かれた。
最新号を紙面で読める!