安倍政権の経済再生と財政健全化の両立を目指す方針に沿った予算案となった。予算額は、アベノミクスによる税収増に支えられ、昨年に引き続き過去最大となるものの、診療報酬のマイナス改定などで歳出の伸びを抑え、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標達成へ向けた第一歩として評価する。
地方創生に不可欠な、農商工連携による農産品の新商品開発・販路開拓・海外展開の支援、地域資源を活用した観光振興の支援などのメニューに加え、中堅・中小企業の生産性向上に向けたIoT、ロボット、ビッグデータの活用や、産学官金連携、医工連携による研究開発投資を後押しする施策が打ち出されたことは、われわれの主張に沿ったものである。
人口減少、子育て支援策が強化された点も歓迎するが、中長期にわたり継続的に実行しなければならない。高齢化で膨らむ社会保障給付の重点化・効率化の徹底・加速化により恒久財源を捻出し、少子化対策へより思い切ってシフトすべきである。
政府におかれては、先にまとめた一億総活躍社会ならびにTPP対策関連の補正予算と本予算案を早期に成立させるとともに、民間主導による「強い経済」の実現を後押しする事業環境整備を、スピード感を持って実行していただきたい。商工会議所としても、中小企業の活力強化と地方創生に全力で取り組む所存である。
なお、平成29年4月1日の導入が予定される消費税の軽減税率は、平成27年度予算の予備費等で対策が講じられたが、残された時間は限られており、政府・地方自治体・事業者など、官民が一丸となって混乱を最小限に抑えるための対策に万全を期す必要がある。(12月24日)
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