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元気が出る中小企業経営 “小ささ”を強みにファンを獲得 ~細やかなこだわりが生み出す人気~

厨房に立つ岩井紅都さん。素材にこだわる丁寧な菓子づくりがファンの心をつかんでいる

自分のお店でお菓子づくりを教えたい

東京都港区の白金に、「COMME PARIS」(コム パリ)というフランス焼き菓子の製造販売とお菓子教室を開くお店があります。オーナーの岩井紅都さんは、大手料理教室の執行役員から転じて、平成23年5月に自分のお店をオープンしました。

「料理教室のマネジメントよりも、お菓子づくりを直接教えたい」と思ったことが、創業のきっかけです。

フランスのホテルリッツでの修業経験を持つ岩井さんは、滞在中にさまざまな菓子店に足を運び、将来の自店のイメージを固めていました。コンセプトは〝フランスの片田舎にある焼き菓子屋〟。構えることなく、駄菓子屋のように気軽に立ち寄ってもらいたいという思いからです。

食べる・つくるが生むシナジー効果

現在は焼き菓子の製造小売り(ネット販売を含む)とお菓子教室の運営が事業の2本柱です。他店にはないブランディングを大切にし、原材料にもこだわっています。小麦粉はフランス産、バニラビーンズはマダガスカル産など高品質なものを使用。お菓子の特質に合わせ高千穂バターを使用するなど、本来の素材の良さを引き立たせています。

お菓子はあえて小さめにつくり、1個100円からとリーズナブル。同業種では珍しい〝バラ売り〟もしていることから、さまざまな種類を買うことができます。「甘いものに目のない女性は少しずつたくさんの種類を楽しみたいはず」という考えからです。

お店は約10坪と広くはありませんが、厨房・売り場をコンパクトにまとめ、店内はホワイトアイボリーを基調とし、一人でも気軽に入れます。お菓子教室は店の厨房を利用し、受講者は4人までと少人数制です。厨房が狭いこともありますが、マンツーマンに近い形で教えられる利点があります。こうした特徴は人気女性誌で掲載されることも多く、〝穴場〟のお店として人気が広がっています。

商品やお店の〝小ささ〟に着目し、それを生かしたおいしい焼き菓子の販売でファンを生み出し、「自分でもつくってみたい」というニーズをお菓子教室で受け止める、2つの事業がシナジー効果をもたらしています。

創業期の中小企業にとって、事業規模は大きくないものの、そこに強みを見いだすことでお客を引き付けられることをこの事例は教えてくれます。

坂本 篤彦(さかもと・あつひこ) 昭和39年東京都生まれ。平成3年東京商工会議所に入所。退職後にビジネス・コア・コンサルティングを設立し、代表に就任。創業・ベンチャーの事業展開支援など、実践型のコンサルティングを行っている。また、中小企業大学校で教壇に立つ傍ら、北は北海道から南は沖縄まで、年間約200回の講演・セミナーを精力的にこなす。

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