日本商工会議所は11月19、20の両日、東日本大震災からの復興を強力に支援するため、第639回常議員会・第245回議員総会などの諸会議を福島県いわき市で初めて開いた。2日間で常議員会・議員総会のほか、「日本商工会議所と東北ブロック商工会議所との懇談会・懇親会」「メイドインFUKUSHIMA展示販売・商談会」に加えてエキスカーションも実施。全国から約250人が参加した。
現在も続く風評被害
19日に開いた東北ブロック商工会議所との懇談会では、東北六県から八戸(青森県)・福島哲男会頭、釜石(岩手県)・山崎長也会頭、石巻(宮城県)・浅野亨会頭、大舘(秋田県)・佐藤義晃副会頭、山形・井上弓子副会頭、福島・渡邊博美会頭がそれぞれの地域経済を取り巻く諸問題について意見発表。開催県である福島商工会議所の渡邊会頭は、「福島の今とこれからの再生に向けて」と題して、今なお続く風評被害の現状と対策などについて説明した。
懇談会で日商の三村会頭は、被災地商工会議所から「復興の進展に伴い、新たな問題が発生している」との声が多く寄せられていることを指摘。具体的に、「平成27年度末までとされている集中復興期間後の財源」「グループ補助金」「販路回復・開拓と風評被害対策」などの課題を示し、引き続き、日商として政府に意見していく考えを示した。
20日の常議員会・議員総会後には、地元いわき商工会議所副会頭で常磐興産の斎藤一彦代表取締役会長が「炭鉱から観光へ、そして復興へ」と題して、特別講演。経営するスパリゾートハワイアンズなどにおける取り組みを紹介した。
今回の移動常議員会に合わせて、初めて開催したふくしま復興販路開拓事業「メイドインFUKUSHIMA展示販売・商談会」には、福島県内の中小企業42社が参加。初日の販売会には、そのうち19社が出展し、全国の商工会議所役員に福島の食品や工芸品などの魅力あふれる商品を売り込んだ。
2日目の商談会には、日商が招いた全国各地の大手百貨店、スーパーなどの広域的なバイヤー32社が参加。震災から3年8カ月経過後も販路回復に手間取っている中小事業者との商談を行った。
日商では専門家による直前個別相談会も実施して、参加企業の商品改良や販路開拓に向けたマーケティング戦略の磨き上げなどを行い、マッチングを支援。当日は285商談が行われ、25件がその場で成約した。
今後は、継続交渉となった207件について、少しでも多く成約できるよう、福島県内の商工会議所と連携してフォローアップを展開。企業ごとの課題に合わせて伴走型の相談体制を構築し、随時アドバイスなどを行う。
また、今回の事業に参加した42社約100商品のカタログも制作。全国のバイヤーに配布するほか、各種イベントなどの機会に商品購入や取引先開拓への協力を呼び掛ける。
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