容器包装リサイクル法(以下「容リ法」という)は、私たちの日常生活の中で、家庭ごみとして出される使用済みの容器や包装に関する身近なものを対象としている法律ですが、その認知度は決して高くありません。そこで今回は、容リ法について理解を深めていただくために、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(以下「容リ協会」という)企画広報部の清水健太郎課長補佐から、全4回にわたって解説します。
容リ法は、平成7年に制定、9年にガラスびん・PETボトルで施行され、12年には紙製容器包装・プラスチック製容器包装に拡大し、4素材を対象に完全施行されました。法制定の目的は、深刻化するごみ問題の解決にありました。法制定当時は、大量生産・大量消費の時代といわれ、一般廃棄物の最終処分場(=埋立地)が8年程度で満杯となってしまうという事態に直面していました。
この状況を打開するため、容積比で家庭ごみの約6割を占める容器包装ごみの減量化により、埋め立て処分場の延命化を図ることが大きな課題となっていました。同法が施行されてから既に19年が経過していますが、その成果として、最終処分場の残余年数は、平成7年当時に8~9年といわれていたものが、現在では19年余にまで延びています。また、家庭ごみに占める容器包装ごみの容積も、この間に約5割に減らすことができました。
容リ法では、関係主体である、①容器を製造または利用する事業者(以下「特定事業者」という)、②消費者、③市町村、の役割を明確に示しています。特定事業者は、容器包装を再商品化(=以下「リサイクル」という)する義務を負います。消費者は、市町村が定めたルールに従って分別排出するという役割があります。市町村は、分別収集した容器包装ごみを資源物として選別し保管する役割となっています。
次に、容器包装リサイクル制度におけるモノ・お金の流れ(図1)について説明します。まず、全国約7 6000社の特定事業者が、容リ協会に再商品化委託申し込みを行い、容器包装ごみのリサイクル義務の委託料金として「再商品化実施委託料」(平成25年度は全国合計で400億円弱)を支払います。また、全国の約1500市町村は、容リ協会との間で分別収集した容器包装ごみを引き渡す契約(単年度)を結びます。ただし、市町村は、容器包装ごみを容リ協会に引き渡すか、独自処理するかを選択できます。
容リ協会では、市町村との契約に基づいて、協会の基準に合致した再商品化事業者(以下「リサイクラー」という。全国約200社)に対して、容器包装ごみのリサイクルを委託します。リサイクラーは、容リ協会との契約に基づいて、市町村から引き取った容器包装ごみを、法で定められた手法でリサイクルし、その結果生まれた再商品化製品を利用事業者に販売します。
これまでお話しした、特定事業者、市町村、リサイクラーと容リ協会との契約は全て単年度契約になります。以上が、容器包装リサイクルの流れです。
清水健太郎・日本容器包装リサイクル協会企画広報部課長補佐
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