コラム石垣 2017年6月11日号 中山文麿

先月末、イタリアのタオルミナで主要国首脳会議(サミット)が開催された。トランプ米大統領は先の大統領選の公約であった保護主義の考えを主張した。しかし、最終的にはサミット加盟国の調整が図られ「自由で公正な貿易と投資は成長と雇用に資するもの」として首脳宣言が採択された。

▼元々、自由貿易を旨とするグローバル化の理念はアメリカが強く掲げてきたものである。特に、レーガン政権の新自由主義の下で、規制緩和などグローバル化を促す政策が取られ、英サッチャー政権や中曽根政権なども同調してきた。そして、この潮流は旧ソ連邦の崩壊によって、一層促進され中国も含め世界全体がその渦の中に入った。

▼ただ、この経済の流れの中で世界的に貧富の格差が拡大した。この負の側面に焦点を当てたきめ細かい政治がなされなかったことが、グローバル化で取り残された人々の不安と怒りを買った。それが如実に表れたのが、昨年の米大統領選挙であり、ラストベルト(さびた工業地帯)の白人労働者がトランプ氏をホワイトハウスに送り込んだ。

▼これからの大きなグローバル・トレンドとして、人工知能(AI)の時代が来る。この技術革新は世界の経済や社会に大きな変化を促し、グローバル化以上に直接人々の仕事を代替して雇用機会を奪う。

▼各国政府の為政者はAIによって仕事を奪われた人々に対して社会保障を中心とした所得再分配政策を充実するとともに、北欧諸国で実施されているような新しい産業分野で働ける知識と技能を身に付ける職業訓練などの施策を実施すべきだ。そして新しい成長・高度産業分野に安心してスムーズに人材が移動できるように雇用の流動化を高めたい。

(政治経済社会研究所代表・中山文麿)

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