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コラム石垣 2017年5月21日号 丁野朗

日本を象徴する「百の物語」を創出し、地域ブランドの確立と国内外の観光交流に生かす。「日本遺産」を一言で表現するとこうなろうか。

▼この4月末、平成29年度の日本遺産(Japan Heritage)17件が発表された。近世日本の経済と文化の交流を支えた北前船(7道県の11市町)、戊辰戦争の敗北から武士たちが刀をくわに持ち替えて開墾した開墾場とシルク再生の物語(山形県鶴岡市)、鉱山近代化の先鞭(せんべん)をつけた生野銀山と鉱石の道(兵庫県の6市町)、海外ファンも多い忍者のリアルな姿に迫る伊賀・甲賀の忍びの里(滋賀県甲賀市・三重県伊賀市)、日本の和食文化を支えたしょうゆ発祥の物語(和歌山県湯浅町)、和装文化の足元を支え続けた足袋と足袋蔵の物語(埼玉県行田市)、森林大国日本の森林鉄道の遺構を生かした日本一の「ゆずロード」(高知県の5町村)、2千年にわたる米づくりの物語(熊本県菊池川流域)などなど、今回も魅力的な物語が数多く認定された。

▼日本遺産の創設は、『明日の日本を支える観光ビジョン構想会議』(議長・安倍首相)が取りまとめた観光ビジョンにも組み込まれている。文化財の大胆な活用は、「3つの視点10の改革」の中の目玉の一つでもある。平成29年度当初予算では、文化財活用・観光振興戦略プランなどに約220億円が計上された。欧州諸国などでは、歴史・文化財が国のブランドや重要な観光資源として活用されている。遅きに失した感はあるが、日本でもようやく文化観光の視点が明示されたことは喜ばしい。ただ、これらが民官の力によってさらに大胆に活用されてこそ、制度の意義は高くなることを付け加えておきたい。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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