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パラリンピックのチカラ File 14 3大会連続出場 頂点目指して柔の道を邁進(まいしん)!

半谷 静香 (はんがい・しずか)

1988年7月23日福島県生まれ。

女子48kg級でパラリンピックロンドン大会7位、同リオ大会5位。

10月1日からトヨタループス株式会社に所属

「第34回全日本視覚障害者柔道大会」で果敢に攻め、優勝した半谷静香選手(右) 撮影:吉村もと

日本視覚障害者柔道連盟は8月下旬、来夏の東京パラリンピック日本代表候補の推薦内定選手を発表し、女子48㎏級には3大会連続となる半谷静香が選ばれた。同階級は東京大会の柔道競技で最初の決勝種目だ。

「金メダル第1号になって日本に勢いを。そして、劣等感の塊のような自分にも自信をつけたい」

生まれつき目の難病で弱視だったが、一般校に通ったため体育はほぼ見学だった。中学生から柔道を始めたが、相手の位置が見えにくく組み手争いで突き指したり、いきなり投げられ悔しい思いをした。

転機は大学時代。視覚障害者柔道に出合う。組んで始まるので組み手争いの苦労がない。「ルールを工夫すれば、私にもできる!」。喜びとともに稽古に励むと才能が開花。パラリンピック日本代表としてロンドン、リオと連続入賞を果たした。

より高みをと誓い東京大会を目指す中、新たな試練に直面する。昨秋、障がいが進み、とうとう全盲になったのだ。日常生活に制限が増え、柔道でもコーチの見本動作は手で何度も触り、動画での確認には言葉での詳しい説明が必要になった。

そして、コロナ禍。柔道は人との接触が避けられない格闘技だ。対外試合は軒並み中止され、対人練習も7月末まで禁止された。自粛期間中は、「できることを着実に」と苦手克服に集中し、「おなかに力を込める」「足裏のバランスを意識」など、「基礎の基礎の練習」をひたすら繰り返した。努力の手応えは確実に感じている。

得意技は左の一本背負い。持久戦にも自信がある。「面白い柔道をする選手」とは3年前から指導する仲元歩美コーチの言葉。「攻撃は最大の防御」をモットーとし、「とにかく突っ込み、ひたすら攻める柔道」が真骨頂だ。

10月から新たな所属先で再始動した。柔道選手の支援はグループ会社全体でも世界女王の谷亮子さん以来、2人目だという。また、近年天災での罹災が続く故郷・福島の人々からは、「頑張る姿が励みになる」と熱いエールが届き続ける。さまざまな期待と責任も感じながら、観る者をワクワクさせる柔道で、声援に恩返しするつもりだ。

柔道

「はじめ」から始まる激しい技の掛け合い 息詰まる攻防に目が離せない

パラリンピックでは視覚障がいを対象とするが、見え方の違いによるクラス分けはなく、体重階級別(男子7、女子6)に競う。基本のルールは一般の柔道とほぼ同じだが、大きな特徴は2選手が互いの襟と袖をつかみ組んだ状態から試合開始となる点。直後から技の掛け合いが始まる緊張感と迫力が見どころだ。視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ戦う選手たちの技量や気迫にも注目!

競技紹介 https://tokyo2020.org/ja/paralympics/sports/judo/

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/

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