観光地のにぎわいが、「Go Toトラベルキャンペーン」で戻ったという声をよく聞くようになりました。都内の旅行関係者に聞いたところ、東京発の人気エリアとして三重、宮城がランクイン、普段人気の沖縄、神奈川が圏外になっているそうです。東京から遠すぎず、近すぎない地域が観光対象として人気のようです。
ただ、外国人観光客は見掛けません。あくまで日本人のみのにぎわい。この状況に「ありがたいです」と喜ぶ観光業関係者が多いと聞きます。理由は? マナーの良さ。外国人観光客は、マナーが悪いと彼らは感じていたからなのかもしれません。さらに部屋の電気が明る過ぎるから直してほしいなど、文句や要望も多くて面倒との話をよく聞きます。
日本人の観光客が増えたことは喜ばしいと感じるかもしれませんが、キャンペーン終了後はどうなるのでしょうか? 重要なポイントは、この機会に旅行した観光客のリピートだと思います。
「ありがとう、楽しかったです」と笑顔で帰ってくれるのが日本人観光客の特徴。ところが、帰路で「最悪、二度と行かない」と語っている光景も見掛けるので、一瞬のにぎわいに浮かれてはいられません。急激な観光客の回復に対応するサービスが、不十分になっているかもしれません。期待値が高い日本人が満足するおもてなしができたのか、厳しい目で対策を取るべきです。
例えば、お客さまから満足度を確認する指標として、NPS(ネットプロモータースコア)を使ってみてはどうでしょうか? まずはロイヤリティーを把握するために「他人への推奨度」を聞きます。この観光地(あるいは宿泊施設)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますかと質問し、0~10点の11段階で評価。9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類し、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引いた値をスコアとします。中立者ばかりだとすればリピートにはつながりません。
また本格的な調査はできなくても、「周囲の方に薦めるとしたら誰に薦めますか?」とお客さまに聞いてみましょう。「友人」と即答があれば、ロイヤリティーが高いと思われます。逆に回答に窮しているようであれば、推奨者ではないのでリピートにはつながりません。回答に窮した理由を聞くことで、改善ポイントが見えてくるはずです。Go Toトラベルキャンペーンを機に、考えていきましょう。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
<11月4日執筆>
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