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今日から始める“大人”健康生活 Vol.20 気をつけたい、冬の入浴

「ヒートショック」が起こるメカニズム

冬の入浴は、寒さで凝り固まった心身をほぐすのに打ってつけの方法です。ただ、命に関わる危険と隣り合わせであることをご存知ですか。現に2011年から、入浴中の事故で亡くなる高齢者は、交通事故で亡くなる高齢者の数をはるかに上回る状況がずっと続いています。

入浴事故が起こる主な原因に、ヒートショックが挙げられます。これは気温などの急激な変化によって血圧が変動し、体に大きな負荷が掛かる現象のこと。冬の入浴では、暖かい部屋から寒い浴室に移動し、熱いお湯に漬かったり、体を洗うために浴槽から出るなど、急激な温度変化にさらされます。すると血管が縮んだり広がったりを繰り返して血圧が上下し、気分が悪くなったり不整脈が起こったり、深刻なケースでは心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすこともあります。これは高齢者だけに当てはまるのではなく、持病のない健康な人でも起こります。

こうしたリスクを防ぐには、急激な温度差を発生させない工夫が肝心です。まずは、入浴前に脱衣所や浴室を暖めておきましょう。湯温は41度以下で、湯に漬かる時間は10分までを目安にしてください。資料によっては「38~40度」を推奨するものもありますが、38度だと体が温まるのに10分以上掛かってしまう場合があります。さらに、浴槽から急に立ち上がらないこともポイントです。

また、食後すぐやアルコールが抜けていない状態の入浴は控えましょう。精神安定剤や睡眠薬などを服用したあともNGです。入浴するなら、就寝の90分ほど前がおすすめです。床に就くころに程よく体温が下がり、寝付きやすくなります。

季節に合った適切な入浴を心掛けることで、事故の防止につながるだけでなく、温熱によるリラックス効果、水圧による血行促進やマッサージ効果など、さまざまなメリットを得ることができます。

福田千晶(ふくだ・ちあき) 医学博士・健康科学アドバイザー 1988年慶應義塾大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科に勤務。96年よりフリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演、執筆、テレビ・ラジオ番組への出演などで幅広く活躍。また、診療所などで診察を担当するほか、産業医として企業の健康管理や健康啓発にも携わる。主な著書に『メタボがわかれば寿命がのびる!』(白夜書房)、『体脂肪を燃焼させるスロートレーニング』(永岡書店)など多数

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