昨年新型コロナウイルス対策で入学式が行えなかった大学では、今年は入学式を2部制にして昨年出席できなかった新2年生も参加できるようにしたところも多かったようです。オンライン授業などで大学生活をリアルに体感できなかった1年間を取り返すべく、開催することになったのでしょう。
やはり、対面の講義やクラブ活動などで、学生としての醍醐味(だいごみ)を実感できることはたくさんあります。ある大学の担当者は、「新2年生は1年次遠隔授業が多く、大学に来る機会が限られていた。疎遠になりがちだった学生同士の親睦を入学式をきっかけに深めてほしい」と話しています。
同じように、昨年度開催できなかったイベントの再開準備も増えてきたのではないでしょうか。ただ、まだリアルイベントを、大掛かりに企画するのは難しいものがあります。それでも開催するなら成果につなげたいもの。そこで、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな企画を検討するケースが増えています。会場を準備して参加者を募り、オンラインでの参加も可としたイベントとして行うのです。
会場での参加人数は限られるために、会場コストを回収しようとオンライン参加を認めるというだけでなく、オンラインを新たなビジネスとして広がりを持たせようとする企画も出てきています。例えば、地方と全国をつなぐハイブリッド形式の観光イベントに参加しましたが、大盛況で新たな感動さえ得ることができました。これまでリアルだけで行っていたときには100人を超えることはなかった参加者が、開催地から遠い人も参加できるため、500人を超える集客効果につながったようです。
さらに、そのイベントはオンラインの画面にこだわり、インパクトのあるキャプション(説明の字幕や見出し)を多用し、チャットを活用して意見交換もどんどん行う工夫をしていました。お互いの意見やアイデアを引き出し、一緒に何かをつくり上げる場に参加し、高揚感を得た人が多かったと思います。おそらく、参加者の満足度は高かったのではないでしょうか。
ちなみに、オンラインを活用したことで国内だけでなく海外の人も参加できたので、インバウンドが復活したときの訪日観光にもプラスになるイベントだったと思います。ハイブリッドにすることで、広く社会に情報を届けることが可能になったのです。さらにイベント全体のクオリティーを高めていくことで、ビジネスとしての成長余地が十分にありそうです。
(立教大学大学院 非常勤講師・高城幸司)
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