政府はこのほど、2021年度から25年度までの社会資本整備の道しるべとなる計画「第5次社会資本整備重点計画」を閣議決定した。計画では、「防災・減災」「インフラメンテナンス」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長を支える基盤整備」に関する従前の四つの目標に加え、新たに「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション」「脱炭素化」の二つの目標を追加。「高規格道路などの人流・物流ネットワークの早期整備・活用の推進」など日本商工会議所の多くの要望が計画に反映された。
基本計画では、災害時における交通機能の確保、災害リスクを前提とした危機管理対策の強化などの防災・減災が主流となる社会の実現に向けた施策のほか、新技術の活用によるインフラメンテナンスの高度化・効率化などの持続可能なインフラメンテナンスなど重点目標ごとに重点施策を明示。社会資本整備のストック効果を最大化させるため、インフラを国民が持つ資産として捉え、整備・維持管理・利活用の各段階において、工夫を凝らした新たな取り組みを実施する「インフラ経営」なども盛り込んでいる。
日商が3月18日に国土交通省に提出した意見書「第5次社会資本整備重点計画案に対する意見」から多くの項目が計画に盛り込まれた。特に各地商工会議所から要望の多かった「交通ネットワークのリダンダンシー(代替性・多重性)の確保による災害時などの交通・物流の機能確保の推進」「高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線などの人流・物流ネットワークの早期整備・活用の推進」「PPP/PFIの積極活用と、地元企業の積極的な参画促進ならびにインセンティブの付与の検討」「建設産業の働き方改革・生産性向上の取り組みの一層の推進による担い手の確保・育成」の4点も実現している。
交通ネットワークのリダンダンシー確保に関しては、「交通ネットワークの多重性・代替性の確保など、交通・物流の機能確保を推進する必要がある」と明記。高規格道路のミッシングリンクの解消、暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワークの強化なども盛り込まれた。
PPP/PFIの積極活用などについても、インフラの設計や維持管理において、住民ニーズや地域の課題・実情に精通した地元企業の積極的な参画を促すことの重要性を強調。地元企業の参画に向け、「民間事業者の提案に対するインセンティブ付与や地域貢献等の観点からの発注方法の工夫なども有用」との考え方が示されている。
最新号を紙面で読める!