コラム石垣 2021年10月11日号 中山文麿

この夏、猛威を奮った新型コロナウイルスの感染拡大第5波は、疫学的に明快に解明されていないが幸いにも終息してきた。一方で、このウイルスに感染しているのに、入院もできずに自宅療養で命を落とした人が相次いだ。もし病院で適切に治療を受けていれば命を落とさずに済んだものをと悔やまれる。これから、冬に向かって乾燥した寒いシーズンが到来する。このウイルスが活発に活動できる気候で第6波の襲来が懸念される。

▼一般的にウイルスの生き残り戦略として、ウイルス自体は弱毒化していく性質がある。ウイルスも寄生虫と同じく宿主を殺してしまったら自分の生きる場がなくなり元も子もなくなるからだ。従って、われわれはこれから数年、インフルエンザと同様に毎年ワクチンを打つなど、このウイルスと付き合っていかなければならないと思う。

▼新型コロナウイルスの集団免疫を得るためのワクチンの接種率を求める公式は、1(いち)マイナス基本再生産数分の1(いち)を百分率で表したものである。例えば、デルタ株(インド型)の場合、何人に感染させるかの基本再生産数は5以上なので、仮にこの数式に5を入れて計算すると80%が得られる。われわれはきちんとワクチン接種を受けて一日も早くこの数字に持って行きたい。

▼現在、発症してから1週間以内であれば抗体カクテル療法という強力な点滴薬もあり重症化が避けられる。さらに、米メルク社や米ファイザー社、それに塩野義製薬も飲み薬の治療薬を完成した。政府も、野戦病院の設置など、日本の国民皆保険制度の名に恥じない医療提供体制を再構築してほしい。そうすればこれからは人流を止めなくてもよい日常生活に戻れそうだ。 (政治経済社会研究所代表・中山文麿)

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