日本商工会議所は11月16日、萩生田光一経済産業大臣との懇談会を開催した。会議の冒頭、日商の三村明夫会頭は、経済概況や中小企業経営の厳しさを指摘。飲食、宿泊など困窮する事業者への重点的かつ迅速な支援を要請した。萩生田大臣は、事業規模に応じた新たな給付金創設や、金融支援の充実に取り組む考えを表明。中小企業への支援強化や取引適正化推進について日商の意見に同意し、対応に力を入れる考えを示した。
会合には、日商側から、三村会頭のほか、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、鎌田宏副会頭(仙台・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)、谷川浩道副会頭(福岡・会頭)ら14人が出席。経済産業省からは、萩生田大臣のほか、細田健一副大臣、石井正弘副大臣、岩田和親大臣政務官、吉川ゆうみ大臣政務官ら幹部26人が出席し、意見交換を行った。
三村会頭は、「新型コロナの影響に加えて、資源価格上昇や円安、最低賃金の引き上げなどで、中小企業からはコスト負担増で悲鳴が上がっている」と指摘。困窮事業者への重点支援に加え、イノベーションに取り組む中小企業、自己変革に挑戦する事業者への後押しや、取引適正化に向けた「パートナーシップ構築宣言」の推進と実効性強化を求めた。
萩生田大臣は、「雇用を守り、地域を支える中小企業の生産性向上と成長を強力に支援する」と述べ、経済対策における新たな事業者向け給付金創設など支援拡充を表明。金融支援や、グリーン・デジタルなどの新たな取り組みに挑戦する事業者への支援、伴走型支援の実施体制の構築にも力を入れる考えを示した。
また、地域の中小企業のDXを加速させるため、デジタル人材を育成するプラットフォームを整備する考えを表明。取引適正化については、経団連の加盟企業にパートナーシップ構築宣言への協力を呼び掛けるとともに、下請けGメンによる監督体制を強化する考えを示した。
また、GoToトラベルについては、「中小企業への配慮や旅行需要の平準化などについて、国交省とも連携して検討したい」との考えを表明。地域分散型社会の実現に向けては、「今は地方への人の流れをつくる好機。若者人材の定着とともに、兼業や副業への支援も進める」と述べた。経済安全保障については、技術流出の防止とともに、ものづくり体制の国内回帰に向け、複数年度にわたる支援を行う考えを示した。
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