公益財団法人日本生産性本部はこのほど「労働生産性の国際比較2021」を公表した。OECD(経済協力開発機構)のデータに基づく2020年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、49・5ドル(5086円)で、OECD加盟38カ国中23位、また、就業者1人当たり労働生産性は同28位と低迷しており、いずれも先進7カ国(G7)では最下位。データが取得可能な1970年以降、最も低い順位となった。労働生産性は、労働者1人当たりで生み出す成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの。日本の生産性は、どちらも伸び悩む結果が続いている。
OECD加盟38カ国の就業者1人当たり労働生産性を見ると、第1位はアイルランドの20万7353ドル(2132万円)。次いで、ルクセンブルク、米国、スイス、ベルギー、ノルウェーの順で多くなっている。
日本の就業者1人当たり労働生産性は、7万8665ドル(809万円)でOECD加盟国中28位(19年26位)となり、米国の14万1370ドル(1454万円)の約56%。ポーランドやエストニアなどの東欧・バルト諸国の国とほぼ同水準で、西欧諸国と比較すると、労働生産性水準が比較的低い英国の9万4763ドル(974万円)にも大きく及ばない。
また、労働生産性上昇率は、実質ベースで前年比マイナス3・9%。OECD加盟38カ国中29位にとどまっている。
2020年の日本の時価当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は49・5ドル(5086円)。就業者1人当たりでは前年比でマイナスだったが、就業1時間当たりでは19年より実質ベースでプラス1・1%上昇している。
政策的に雇用維持を重視したことが労働生産性を下押しする要因になったが、飲食店や宿泊業などを中心に営業時間の短縮や営業自粛の動きが広がり、結果として時間当たり労働生産性を押し上げることにつながった。ただし、順位ではデータが取得可能な1970年以降、最も低い順位になっている。
2019年の日本の製造業の労働生産性水準(就業者1人当たり付加価値)は、9万5852ドル。これは、米国の65%に相当し、ドイツをやや下回る水準であり、OECDに加盟する主要31カ国の中で18位だった。
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