わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、全国に設置され、電話やメール、ウェブサイトにより無料で相談できる「下請かけこみ寺」(本部:公益財団法人全国中小企業振興機関協会)に寄せられた「親事業者の4つの義務と11の禁止行為」に関する問い合わせの中から、参考になる事例をQ&A形式で解説します。
Q.清掃業のA社(資本金:800万円)は、取引先のビルメンテナンス業のB社(資本金:1億円)から、B社の取引先である遠方のホテルからホテル内の清掃業務の依頼があり、A社にも一部お願いしたいとの申し出があったので、現地に一緒に出向いて確認の上、試しに現場の清掃を行いました。その後、B社から、当該ホテルの予定が変わり清掃依頼がキャンセルされたので、今回の清掃作業はサービスでお願いしたいと言われました。しかし、A社も旅費、事務費などの経費がかかっているため、その分を請求したいとB社に伝えたのですが、支払ってくれません。B社の対応は、法律上問題はないのでしょうか。なお、B社とA社との取引額は、A社の売り上げ全体の7割弱を占めています。
A.契約を交渉する際に、あらかじめ現場の調査などを実施することはあると思われますが、多くの場合、当該費用については営業活動経費として今後の取引で回収することを想定していると考えられます。相談内容のケースでは、調査後の契約が成立したか否かが不明ですが、旅費などの費用を請求したいのであれば、その根拠が必要になります。これは難しい判断となりますので、無料弁護士相談を活用するなどして専門家のアドバイスにより確認されるとよいでしょう。
ポイント
調査などで費用が高額になることがありますが、相手方にかかった費用については、各々で応分の負担をするなどの協議をあらかじめしておく必要があります。また、協議内容を書面化しておくことも大切です。
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