政府の経済安全保障法制に関する有識者会議はこのほど、「経済安全保障法制に関する提言」を取りまとめ、公表した。提言は、「重要物資や原材料のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化」「基幹インフラ機能の安全性・信頼性の確保」「官民で重要技術を育成・支援する枠組み」「特許非公開化による機微な発明の流出防止」の4本柱で構成。提言を受け取った岸田文雄首相は、関係閣僚で構成する経済安全保障推進会議で「必要な法整備を速やかに整えなければいけない」と述べ、小林鷹之経済安全保障相に今通常国会への法案提出に向けた準備を指示した。
提言では、サプライチェーンの強靭化について、「国民の生存に不可欠な物資」「広く国民生活・経済活動が依拠している物資」を対象にするとともに、特定の国への依存の程度のほか、将来的に他国に依存する可能性を念頭に置く必要を指摘。基幹インフラの安全性・信頼性の確保では、エネルギー、水道、情報通信、金融、運輸、郵便の6分野を想定し、サイバー攻撃などに備え、国の事前審査、勧告や命令などを出せる仕組みとすることなどを求めている。
先端技術分野の官民協力については、日本の強みや優位性を検証し研究開発を支援。技術流出防止に向けては、機微な発明などについて特許非公開とすることなどが盛り込まれた。
岸田首相は「経済安全保障の取り組みは待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱」と述べ、法案成立への意欲を表明。国民生活や経済活動を支える重要な産業が直面するリスクの総点検、脆弱(ぜいじゃく)性を克服する対応についても関係省庁で連携して進めるよう指示した。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/index.htmlを参照。
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