日本商工会議所は8日、復興庁とテレビ会議を開き、鎌田宏副会頭・東北六県商工会議所連合会会長(仙台・会頭)、石田徹専務理事らが、2月に機関決定した要望書「東日本大震災からの『復興・創生』に関する要望~地域経済の再生と創造的復興の実現に向けて~」を西銘恒三郎復興大臣に手交し、その実現を強く求めた。被災地からは、オンライン形式で東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会の花坂康太郎代表(宮古・会頭)らが同席。創造的復興に向けた取り組みの推進などを訴えた。
要望書は、被災地の商工会議所や事業者の現場の声・実情を踏まえて取りまとめ、2月に開催した第713回常議員会で決定・公表したもの。震災から11年が経過し、復興の動きが進む一方で、被災地が直面している課題解決に向けた取り組みを求めている。
要望書を受け取った西銘大臣は「復興が進む一方で、未だ困難に直面している方々もいる」と指摘。「要望書は現地の生の声を反映した重要なものでありしっかりと受け止める」と述べ、政府として必要な支援に取り組む考えを示した。
要望書では、震災後の人口減少や度重なる自然災害の発生、コロナ禍による消費低迷などにより厳しい経営環境に置かれている事業者の経営再建・事業継続に向けた支援とともに、新事業展開や販路開拓などビジネスモデルの転換を後押しするべきと要望。ALPS処理水の海洋放出については、新たな風評の発生を懸念する声があることから、国が責任を持って風評対策を行い、迅速かつ適切な賠償の実現に取り組むべきと強く求めている。また、先端技術の研究開発拠点の整備・利活用促進の重要性も指摘している。
原子力災害の完全な収束に向けては、廃炉や除去土壌処分など長期的課題の解決が必要であり、引き続き国が前面に立って取り組むことを求め、産業・生業の再生については、「農林水産業の販路回復・拡大支援」「風評払しょく、諸外国による日本産食品などへの輸入規制早期撤廃」「観光振興による交流人口拡大」「産業の原動力である人材確保への支援」「自立に向けた資金繰り円滑化と補助金の継続および運用の弾力化」を要望。また、道路網・鉄道網、港湾などの整備促進、空港の整備・利用促進ならびに地方路線の維持拡充など、インフラの整備・利活用促進による創造的復興の実現を求めている。
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