日本商工会議所の江頭敏明社会保障専門委員会委員長(三井住友海上火災保険株式会社特別顧問)は3月30日、デジタル庁に牧島かれん大臣を訪ね、「社会保障における持続可能な医療制度に関する提言~医療のデジタル化と自助・イノベーションの強化を~」を手渡し、提言内容の実現を求めた。提言は、わが国の医療制度が直面するさまざまな課題解決のために必要な取り組みを取りまとめ、3月17日に公表したもの。同28日には、厚生労働省の榎本健太郎大臣官房審議官(医療保険担当)にも直接手交し、要望している。
江頭委員長は、医療分野のデジタル化と活用を一気に加速することが必要と説明。統一仕様の電子カルテシステムの構築、マイナンバーカードの活用、オンライン診療や電子処方箋の活用促進などを要望した。
牧島大臣は、「オンライン診療・服薬指導なども今後本格的に実施されるところであり、医療DXに取り組んでいく」との考えを表明。「マイナンバーカードの保険証利用は医療DXの出発点であるため、商工会議所の協力をお願いしたい」と述べた。
提言では、基本的な考え方として、「いのちを守ること」と「医療を守ること」の両立に向け、公的医療保険など医療制度改革の必要性を指摘。「公的医療保険制度は、負担と給付のバランスが悪く、自助・共助・公助の在り方が大きく問われている」として、コロナ禍で遅れが顕在化した医療分野のデジタル化・データ活用、セルフメディケーションの推進とともに、医療関連産業のイノベーションにより、レジリエントな国づくり・経済成長に寄与していくことなどを求めている。
医療DXの推進については、「感染症発生報告用システム等の確実な利用促進」「医療資源確保などに係る情報システムの普及拡大」「電子カルテの統合化、データ連結の推進」「マイナンバーカードの普及・活用促進」などの強力な推進を要望。公的医療保険からの給付増加抑制に向け、セルフメディケーションの促進と、その実践に必要なヘルスリテラシーの向上に向けた取り組みの重要性を訴えている。
公的医療保険制度については、「現役世代や事業主が加入する被用者保険が負担する拠出金が、高齢者が多い市町村国保や後期高齢者医療制度を支える構図となっており、今後現役世代や事業主の負担増を招く恐れがある」と指摘。医療費負担について、支払能力に応じた形にすることを主張している。
提言書の詳細は、https://www.jcci.or.jp/recommend/request/2022/0317140000.htmlを参照。
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