体に何らかの異変が起こっていても、必ずサインを発するとは限りません。自覚症状がほとんどないまま、ある日突然発作を起こし、最悪の場合は命に関わるのが虚血性心疾患です。
虚血性心疾患には、狭心症と心筋梗塞があります。狭心症は、心臓の血管が狭くなり、血流が悪くなった状態をいいます。進行すると、何らかの動作をしている際に、胸を圧迫されるような痛みの発作を繰り返すようになります。
心筋梗塞は、血栓(血の塊)が心臓の血管に詰まり、その先の血流がストップして心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸の激痛、呼吸困難、吐き気、冷や汗、顔面蒼白(そうはく)などの症状が現れます。
虚血性心疾患を引き起こす最たる原因が、動脈硬化。血管壁が硬く厚くなって内腔(ないくう)が狭くなった状態ですが、これだけではほとんど自覚症状はありません。そのため知らぬ間に進行し、これが心臓の血管で起こると、狭心症や心筋梗塞のリスクを高めるのです。
虚血性心疾患を予防するには、3大危険因子とされる高血圧、LDLコレステロールの高値、喫煙に加え、メタボリックシンドロームの改善を心掛けることが重要です。禁煙すると同時に、健診で危険因子の存在や状態を把握しましょう。「要治療(要医療)」「要精密検査」「要再検査」の判定が出たら必ず医療機関を受診し、「〇カ月後経過観察」の判定ならその時期に検査を受けてください。
また、体の小さな異変を見過ごさないことも大切です。虚血性心疾患は、発作の予兆として、動悸や息切れ、倦怠(けんたい)感が出現する場合があります。また、胸のぼんやりとした痛み、締め付けられる、押さえ付けられるような鈍い痛みを感じることもあります。ただ、胸に痛みを感じても、数分のうちに治まってしまうケースが少なくありません。
こうした異変を放置すると、ある日命に関わる発作を起こしかねません。「大したことはない」と自己判断せず、速やかに循環器内科を訪ねるのが正解です。
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