京都商工会議所はこのほど、茶道裏千家の一般財団法人今日庵と茶道文化の振興や普及・啓発で連携する協定を締結した。今日庵が経済団体と協定を締結するのは今回が初めて。同協定には、「茶道精神に触れ、点前を体験する場づくり」「茶道文化の普及のための広報・啓発」「京都の企業経営者や従業員等に対する日本文化を伝え学ぶ機会の提供」「持続可能な文化と産業との融合による京都ブランドの振興」に関することなどの5項目を盛り込んだ。
協定の締結は、同所がかねてより推進している「文化と産業の融合」の取り組みの一環。会員事業者が茶道精神や文化に触れる機会を創出する。
調印式当日、同所の塚本能交会頭は、「京都経済がコロナ禍で疲弊し、厳しい経営環境にある中、今一度茶道の精神である『和やかな心、敬い合う心、清らかな心、動じない心』を表す『和敬清寂(わけいせいじゃく)』に立ち返っていただきたい」とあいさつ。今日庵の千宗室理事長は、「伝統文化の中でも茶の湯とは、さまざまな日本文化が取り入れられたポータルサイトである。この協定により、茶の湯を体験された方々がいろいろな日本文化に進まれ、それが社会の活性化につながっていくならば誠に光栄なこと」と期待を示した。
今回の協定に基づいた具体的な取り組みとして、「12部会、女性会、青年部、支店長会などにおける茶道に関する研修やセミナーなどの実施」「同所会報誌での連載記事の掲載」「会員企業に対する茶道活動支援」などを予定している。
同所では、来年3月に開始する新文化庁移転支援事業の一環として、旧京都府議会議員公舎の敷地にあった旧富岡鉄斎邸を文化と産業の創造交流拠点として整備し、茶室や和室などを活用した和の文化に親しめる場の提供も計画。今日庵との協定による文化と産業の融合で、世界を魅了する京都ブランドの構築に向けたさまざまな事業を展開していく。
詳細は、https://www.kyo.or.jp/kyoto/pdf/20220601_kyoteisho.pdfを参照。
最新号を紙面で読める!