私にとって給料やボーナスなど、働いて稼いだお金は生活するためのお金で、無駄遣いはしません。質素な暮らしが身に付いているので、こだわる部分以外は節約して暮らしています。例えば、米国に行く時の機内のWiFi使用料980円を迷った上我慢し、現地ホテルのフリーWiFiを利用するタイプです。
私がまだ株式投資を全くやっておらず、収入は船井総研からの給料だけだった頃の話です。小さなマンションを複数所有しており、そのローンを抱えたサラリーマン社長でした。
ある時〝マネー〟という感覚を初めて知る出来事が起きたのです。知り合いの社長から、自社のファンドへの出資をお願いされました。5000万円の出資を募って足りなかった不足分、160万円ということでした。船井総研は12月決算で、株主総会の翌日に決算賞与が入るのですが、その直後だったため、そのくらいの金額ならば付き合ってもいいと思い、損得ではなく応援するつもりで出資しました。
忘れて過ごして4年たった3月、「上場はできそうにもないけど、M&Aで6月くらいには会社を売却できそうなので、書類に押印していただきたい。5倍くらいにはなりそうです」と、連絡がありました。5倍というと800万円です。それまで、お金は働いて得るものだと思っていたので、半信半疑でした。そして5月の連休明けに、「やっぱり6月末に決まりました。もしかすると10倍くらいになるかもしれませんよ」とのこと。予定通りに6月30日に押印し、7月に銀行で記帳し確認してみると、何と4000万円が振り込まれていました。税金と、160万円の元本を差し引いて、4年で3000万円を得たのでした。
これは自分の稼ぎとは別の意味のお金なので、銀行にマネー用の別口座をつくりました。その後、株式投資を多少やりながら、その額は徐々に増えていきました。
昨年、弊社の副社長から、ヘッジファンドを買わないか、と勧められ、担当者を紹介されたので、その口座のお金を5000万円使いました。980円をケチる私が、この金額をポンと出したことは、自分でも不思議な感覚でしたが、これがお金とマネーの違いなのです。
お金の使用目的は日常、マネーは非日常と考えることができます。
ビジネスシーンに当てはめると、お客さまが使おうとしているのは、お金でしょうか、マネーでしょうか。不思議なことのようですが、お客さまが使って喜ぶのは、実はマネーの方なのです。非日常の買い物は一種の娯楽でもあるからです。
いかにマネーを使っていただくかは、どの業種も工夫次第。大きな可能性を秘めています。
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社名:株式会社 風土
TEL:03-5423-2323
担当:髙橋
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