日本商工会議所の小林健特別顧問(役職は当時)は11月16日、後藤茂之経済再生担当大臣との懇談会を都内で開催した。後藤大臣は、閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」と2次補正予算案などに盛り込んだ中小企業支援策などを説明。小林特別顧問は、経済対策の早期執行に期待を表明した。
後藤大臣は、政府の総合経済対策について、「エネルギーと食料を中心とした集中的な激変緩和措置や、新たな信用保証制度の創設などを盛り込み、中小企業の事業活動を守り抜くための対策を講じていく」との考えを表明。「中小企業の賃上げ拡大が不可欠であり、『人への投資』を進め、所得向上に還元されるという好循環を生み出すとともに、価格転嫁対策の強化や事業再構築事業などの事業者支援を大幅に拡充する」と述べた。
地域や中小企業の「稼ぐ力」の回復・強化に向けては、「観光再生や中小企業などの海外市場開拓支援、円安を好機と捉えた攻めの国内投資による新たな市場開拓やビジネスの創造につなげていきたい。また、スタートアップの起業加速支援も行っていく」と強調。新型コロナ対策については、「オミクロン株と同程度の感染力・病原性であれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持することを基本的な考え方としていく」と述べ、日商に対し、ワクチン接種の推進や感染拡大下における事業継続体制の確保の協力を要請した。
日商の小林特別顧問は、経済対策の迅速な執行に期待を示すとともに、成長戦略について「真に困窮する者への支援と同時に、潜在成長率を抜本的に底上げする成長戦略の実行が不可欠」と強調。「企業収益と賃金が共に上昇する経済の好循環のためには、民間投資を大胆に呼び起こす必要がある」と述べるとともに、「インバウンドや中小企業の輸出拡大、DXやGXなどの重点投資分野への長期計画的で大規模な政府支出で企業の成長期待を高めてほしい」と要望した。
政府が目指す構造的な賃上げに向けては、「原資の確保が不可欠であり、中小企業が収益を確保できる環境整備が必要」と指摘。「商工会議所としては、中小企業の生き残りを懸けた、自己変革の取り組みを強力に伴走型で支援していく」と述べた。
ガソリンや電気価格上昇を抑える対策については、「出口」への意識とともに、今後のエネルギー危機も想定した省エネへの取り組み支援を抜本的に強化すべきとの考えを表明。「エネルギー安全保障のため、原発再稼働などの原子力政策の一層の加速化が必要」と指摘した。
コロナ対策については、「コロナと共存できる社会の構築こそが、最大の経済対策。医療体制を徹底的に効率化し、医療ひっ迫を招かずに、活動を継続できるよう体制整備を」と要請。新型コロナを日常的な病気として全ての病院で対応できる「エンデミック」への移行を意識した対策を求めている。
その後の意見交換では、具体的な成長戦略や、効果的な施策の進め方などについて議論。物価高などの危機を乗り越えるために官民一体で取り組むことの重要性を双方で共有した。
最新号を紙面で読める!