さまざまなSNSを活用し、多くのフォロワーを抱えているインフルエンサー。特に若年層への訴求力があることから、SNSを使って発信するインフルエンサーが注目されている。スマートフォン1台あれば、全国どこからでも始められるSNSは、中小企業や地域企業と非常に親和性が高い情報発信ツールでもある。そこで、自らインフルエンサーとなり自社情報を発信し、知名度アップや販路拡大に成功した企業や商工会議所の取り組みを追った。
SNSを通じて商工会議所に興味を持ってもらえる情報発信をしていく
札幌商工会議所ではさまざまなSNSを活用して情報を発信している。その一つ、YouTubeでは、札幌市出身のフリーアナウンサーで北海道観光大使も務める青山千景さんが出演する動画をアップしている。青山さんはSNSで北海道の観光情報を発信するインフルエンサーとしても活躍中で、両者のコラボレーションが札幌市の観光や商工業をアピールする上での相乗効果が期待されている。
道内179市町村全て回り観光情報をPR
青山千景さんは、18歳から地元のSTVラジオで11年間パーソナリティーを務め、2007年度にはミスさっぽろに選ばれた。現在は札幌を拠点にフリーアナウンサーとしてテレビやラジオ、司会を中心に活動している。
「北海道がとにかく大好きで、テレビ北海道の『旅コミ北海道』という食と観光をメインにした番組のリポーターも13年間務め、ロケも含め、道内の179市町村全てを回りました」と語る青山さん。
札幌での大きなイベントの司会も務めており、その後、英語でも司会ができるように、ニューヨーク、シドニー、セブ島に語学留学。それからはスピーチや司会で英語も駆使するようになった。
「17年からは、北海道経済部観光局からお話をいただき、北海道観光大使も務めています。それ以前からSNSで北海道の観光情報を発信していたのですが、観光大使になってからは、より多くの人に見てもらえるよう、インスタ映えする写真を撮りに行くようになりました」
コロナ禍以降は、道内の観光産業が苦境に陥ったことから、たとえ旅行できなくても北海道観光を盛り上げようと「リモ旅北海道」という企画をインスタグラム上で立ち上げた。道内の菓子メーカーの協力を得て、ハッシュタグ「#リモ旅北海道」をつけて写真を投稿した300人に菓子をプレゼントする企画も行った。
「22年2月には、私が実行委員長となって「サッポロアートキャンプ」というイベントを札幌芸術の森で開催しました。雪の上をプロジェクションマッピングで演出して、最終日には花火を上げて、多くの方に喜んでいただけました。今年も2月に開催します」
青山さんは、SNS上だけでなくイベントでも、北海道を盛り上げようと尽力している。
役割を分けて商工会議所の情報を投稿
一方、札幌商工会議所もSNSを積極的に活用しており、現在ではLINEとフェイスブック、YouTube、インスタグラムで情報発信を行っている。同所がSNSを始めた理由について、会員組織部会員サービス・広報課の原田翼さんはこう説明する。
「デジタル化の進行とSNSの社会的な普及により、情報発信において紙媒体やホームページだけでなくSNSも活用する時代になっていることから、より多くの方々に情報を届けるために始めました。先に始めていたLINEとフェイスブックではセミナーやイベントの告知を行っていたので、インスタグラムでは会員企業の商品紹介や、セミナー・イベントの報告として活用するなど、それぞれのSNSの役割を分けた形で情報発信を行っています」
情報を発信する頻度は、LINEが毎週水曜日、フェイスブックとインスタグラムは週1、2回。11年から始めたYouTubeでは、現在は札幌エリアの店舗を紹介する動画やセミナーの様子などを2カ月に1本のペースでアップしている。
「YouTubeは、私たちが普段行っている事業について、会員企業はもちろん、市民の方々にも伝えていくために始めました、商工会議所というとお堅い印象をお持ちの方が多いと思うので、やわらかいイメージで親しみを持ってもらえるような内容にして、動画を通して楽しみながら当所の活動を知っていただけたらと思って、動画を企画、撮影しています」
YouTubeで会員企業をもっと盛り上げていく
昨年10月、札幌商工会議所のYouTubeチャンネルに、青山さんがリポーターを務める動画がアップされた。これは同所が運営し、札幌エリアのキッチンカー出店情報を掲載するサイト『ここキチ‒Do』に紹介されているキッチンカーを、青山さんが訪れてお勧め商品を紹介する5分ほどの動画である。
「青山さんは北海道観光大使としてさまざまな観光や食の情報を発信されているので、当所にお越しいただく機会があった際に、出演をお願いしました」(原田さん)
「私が撮影でご提案したのは、商工会議所の動画であっても、YouTubeっぽいフランクな感じにしませんかということ。撮影の際は私に任せてくださり、ディレクター兼リポーターみたいな形でカメラマンさんと掛け合いながら撮影していきました」(青山さん)
動画の公開後、YouTubeのチャンネル登録者が増加し、この動画を見た人たちからは、今までと違った撮影手法が好評だったという。
同所の今後のSNSでの展開について原田さんは、「一般の方々にも分かりやすい内容で、商工会議所に興味を持ってもらえる情報発信を今後も続けていきます。青山さんにはまたご協力いただいて、動画を制作していきたいと思っています」と語る。
一方の青山さんは「札幌商工会議所の会員企業さんをもっと盛り上げていくためにも、テレビ番組のリポーターだった経験を生かして、札幌にこんな面白いところがあることを、YouTubeやインスタグラムなどでご協力して発信していきたいと思っています」と力を込める。
地元のインフルエンサーとのコラボにより、商工会議所によるSNSの情報発信が注目を集めていくことは間違いない。
会社データ
社名 : 札幌商工会議所
所在地 : 北海道札幌市中央区北1条西2丁目
電話 : 011-231-1318
HP : https://www.sapporo-cci.or.jp/
会員組織部 会員サービス・広報課
※月刊石垣2023年2月号に掲載された記事です。
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