石川県小松市
航海に正確な地図と羅針盤が必要なように、地域づくりに客観的なデータは欠かせない。今回は、石川県西南部に広がる加賀平野の中央に位置し、2024年春に北陸新幹線開業を迎える人口約11万人の「小松市」について、まちの羅針盤(地域づくりの方向性)を検討したい。
工業と伝統と
コマツ(小松製作所)を中心とする機械産業の集積地として有名な小松市は、江戸時代に加賀藩第3代当主の前田利常公が小松城を隠居地としたことで基盤が整備された。城下町に職人が集まり、ものづくりの生業が繁栄、機械産業のみならず繊維産業なども盛んな工業都市へと発展した。また、九谷焼や小松瓦などの伝統産業が残るほか、歌舞伎「勧進帳」の舞台である安宅(あたか)の関や、開湯1300年の歴史を持つ粟津温泉があり、まちの一画には城下町の面影が残る伝統都市でもある。
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