中小企業庁はこのほど、2017年度における下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づく取り締まり状況などを公表した。書面調査は、親事業者と下請け事業者合わせて約12万社に対して実施。違反の恐れのある親事業者958社に立ち入り検査などを行い、867社の改善指導、1社の公正取引委員会への措置請求を行った。取り締まり状況などの概要は次の通り。
2017年度には、親事業者4万4620社(16年度4万5507社)に下請け事業者7万4927社(同25万5148社)を加えた計11万9547社(同30万655社)に対して書面調査を実施した。なお、今年7月に17年度追加調査として下請け事業者約13万社に書面調査を発送しており、17年度分としては計約25万社に対し書面調査を実施している。
また、中小企業庁および各経済産業局では、下請け事業者から下請法に違反する恐れのある事業者についての情報提供・申告の受け付けを随時行っており、179件(同129件)を受け付けた。 立ち入り検査は958社(同1006社)に対して実施し、そのうち867社(同900社)に対して書面により改善指導を行った。親事業者に対する立ち入り検査によって明らかとなった違反行為の中で、特に下請け事業者に対する影響が重大である案件については、下請法第6条に基づき中小企業庁長官から公正取引委員会に対して措置請求を行うとともに企業名を公表しており、1件(同0件)の措置請求を行った。
親事業者が2・5億円返還
また、違反が認められた親事業者のうち270件に対しては、減額した下請け代金、支払い遅延に係る遅延利息などについて、合計で約2億5100万円(同約2億3000万円)の返還を指導した。違反の内容としては、実体規定関係の禁止行為の違反として「下請け代金の支払い遅延」「下請け代金の減額」が、また、手続き規定関係の義務違反として発注時の書面の不備や未交付が多く見られ、これら禁止行為や義務違反に対し、改善指導を行った。また、下請法の違反行為が今後生じることのないよう、これらの親事業者に対して、社内における体制整備など再発防止についての指導を行った。
また、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)および下請法の間で密接な協力体制を構築することにより、より効果的で効率的な運用を確保することとした。
適正取引推進へヒアリング実施
政府は、取引条件の改善など、中小企業・小規模事業者を取り巻く諸課題に対応するため、17年9月に「中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」を内閣官房副長官の下に設置して、省庁横断的に必要な検討を行っている。
また、取引調査員(下請Gメン)を配置し、17年度は全国の下請け中小企業を訪問して、2727件のヒアリングを実施。ヒアリングで聞き取った内容については、秘密保持を前提として必要に応じ、個社または業界団体にフィードバックなどを行うなど改善につなげるとともに、下請法違反の疑いがある場合には検査に移行するなど、適正取引に向けた取り組みを強く促すとしている。
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