日本商工会議所は6月5日、公正取引委員会との意見交換会を都内で開催した。取引適正化や価格転嫁にかかる政府の取り組みと、中小企業の現状・課題について認識を共有し、一層の取り組みの促進を図ることが目的。昨年3月以来の開催となった。
会議には、日商側は立野純三中小企業委員長(大阪・副会頭)、細田眞産業経済委員会共同委員長、宮入正英中小企業経営専門委員会委員、宗像直子知的財産専門委員長、石田徹専務理事ら7人、公正取引委員会側は小林渉事務総長はじめ幹部6人が出席した。
日商側からは、「発注者が自発的に価格協議に取り組める環境の整備が必要」「一定規模以上事業者に課される物流生産性向上の中長期計画の作成と取り組み状況の報告義務について、中小の下請け企業に書類作成の負担が強いられるようなことが起きないよう、監視が必要」などの意見を表明。また、知財に関する長期契約について、適正な取引事項が盛り込まれていないケースが散見されることから、既存の契約の見直しに関する働きかけの実施を求めたほか、グリーン分野におけるビジネスについて、独占禁止法上線引きが難しい場合が想定されることから、ガイドラインの随時見直しなどを求めた。
公正取引委員会からは、「価格協議ができた企業の増加傾向および協議できた企業の価格転嫁割合が高いことは、日商の調査と同様の認識」「労務費の価格転嫁が今後の課題。コストに占める労務費の高い業界には、協議・転嫁の動向や、転嫁できた事例などを重点的に調査する」「ガイドラインは今後も商工会議所に意見を伺いながら、必要な改訂を行う」などの発言があった。
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