千葉県柏市を舞台に、2013年より10回にわたり大規模なマラソンイベント「KASHIWAリレーマラソン」に携わっている柏YEG。地域を活性化する事業の成功の秘訣(ひけつ)を探ってみた。
初開催で参加者1500人超!その裏には…
「KASHIWAリレーマラソン」は、2013年に柏YEGの35周年事業として初めて開催されたが、驚異的な参加者数を集める大成功を収めた。この成功の要因は何か。リレーマラソンの発起人であり、当時の会長である森正光さんに話を伺うと、メンバーの熱い思いが明らかになった。
「このリレーマラソンは、1周約2㎞のコースを10人までのチームで走るスポーツです。1人約2~4㎞の走行でも完走できるため、気軽に参加できることで多くの参加者を集め、柏市を盛り上げる絶好の機会になると感じ、YEGメンバーに提案してみました」
とはいえ、最初は大会をやる意味を理解されず、反対も多かった。しかし、森さんの強い情熱と説得力が賛同者を増やしていく。
「大会の開催準備に当たり、全く人手が足りませんでした。まして知識や経験もない。そのため、とにかく行動力のあるメンバーで、駅前でのチラシ配りや地元イベントでのPR活動、協賛依頼など、それぞれが役職を担う形式を採りました。そうしていくうちに徐々に協力してくれる人も増えていき、ようやくイベントを開催できるめどが立ってきました」
だが、喜びも束の間、さらなる試練が待ち受けていた。
「参加登録数は1000人を目指していましたが、本番2ケ月前にもかかわらず、登録参加者はたったの80人。しかし、この危機によってメンバーは一丸となり、柏YEGメンバーの自社スタッフや取引先はまで声を掛けて、参加協力をお願いしたところ、登録者が一気に増えて1500人を超える大会を開催するに至りました。とにかく大会当日までは寝ても覚めても四六時中、リレーマラソンのことを考えていましたね」
大会が成長した鍵は選択と集中
毎年着実に参加者を増やし、いまや3000人を超える規模へと成長した同イベント。参加者を集めるためにはどのような工夫をしているのか。
「開催当初は、ステージをつくって学生の吹奏楽や地元アイドルを呼んで人を集めていましたが、回を重ねていく中で『ランナーが楽しめる大会にしてほしい』という声をいただきました。ステージの代わりに未就学児が無料で参加できる「ちびっこラン」を設けたところ、400人以上の子どもと保護者が参加してくれました。飲食ブースでは肉祭りを企画してみたところ、ランナー以外の人も会場付近に集まるようになり、リレーマラソンがより多くの人に認知されるようになったことがポイントですね。それから、自由な参加スタイルです。ユニフォームを統一したり、仮装したり、楽しみながら参加することができます。マラソンの種目も「ちびっこラン」からフルマラソンまで設けており、幅広い年齢層が参加できるようにしています。10年続けていると、以前に親子マラソンへ参加した子どもたちが、大きくなって家族でマラソンに参加してくれる光景も見られます。また、走ること以外にも、走り終えた後の仲間たちとの関わりを恒例行事として楽しみにしているという声もあります。「柏リレーマラソンは誰でも参加しやすい大会であると同時に、中高生や大学生の若者が本気で走り、思い出に残る大会になることを目指しています。大会実行委員会にはYEG卒業生も多数おり、現役柏YEGメンバーと連携して二人三脚で盛り上げています。こうして続けられているのも実行委員会メンバーの尽力と協力してくれる皆さまのおかげです。100回大会までやりたいですね!」と森さんはにこやかに答えてくれた。
情熱というタスキをつなぐ
今年45周年を迎える柏YEG。情熱的な先輩たちと共に歩み、常に自分達で地域を盛り上げよう! という姿勢が脈々と若い世代に受け継がれ、魅力的な組織をつくっている。最後に、「情熱革命」というスローガンを掲げる今年度の会長、小笠原拓海さんにその思いについて語ってもらった。
「この2、3年で生活様式が一変し、YEGに対する意識にも変化がありました。私たちの活動も、時代に合わせ、伝統を守りながらも変わっていかなければなりません。私は一人の人間として、経営者として、仕事・家庭・青年部活動のバランス感覚の良い人材を育てたいと考えています。さらに、若者が挑戦しやすい環境を整備するため、地元の高校生と定期的な交流を行い、柏市の課題にともに取り組み、柏市がさらに盛り上がるような企画も考案しています。まずは今年度の周年事業に多くの市民が集まり、柏市を大きく盛り上げることが目標です」
これからも情熱的な活動で地域を活性化していく柏YEGの活躍に期待したい。
2023.11.26開催! KASHIWAリレーマラソンのHPはこちら ▶ https://kashiwa-marathon.com/
【柏商工会議所青年部】
会長 : 小笠原 拓海
設立 : 1979年
会員数 : 109人
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