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こうしてヒット商品は生まれた! ナビパレット

中津川包装工業【愛知県春日井市】

強化段ボールを使用したオール段ボール製パレット。木製と変わらぬ強度を備えながら自重5〜7kgで、1個1000〜2000円と安価なところが魅力だ

段ボールを用いた各種包装の製造販売を行っている中津川包装工業。同社が苦心の末に生み出した強化段ボールをもとに開発した「ナビパレット」が、顧客の信頼を集め、40年以上にわたって売れ続けている。パレットの多くは木製だが、段ボールでつくることで「軽い、安い、エコ」を実現し、新しい物流の形を提案している。

物流コストの削減を目的とした段ボール製パレット

物流に用いる、荷物を載せる荷役台を「パレット」という。さまざまな種類があるが、代表的なのは上部に構造物がない平パレットで、ほとんどは木製だ。そんな常識を変えたのが、中津川包装工業が開発した段ボール製の「ナビパレット」である。

世の中には、容積は小さいが重い、大きいが軽い、形が変則的、精密で壊れやすいなど、多種多様な荷物がある。それらを安全かつスムーズに輸送・保管する上でパレットは必需品だが、木製だとそれ自体が重くて取り扱いも難しい上に、使用後は産業廃棄物として処分しなければならない。一方、同製品は平面耐圧強度は最大20t、たわみに強く、引きずりにも楽々耐えるなど、木製と変わらぬ強度を持ちながら、軽量で扱いやすい。そのため物流コストを削減でき、使用後は100%リサイクル可能だ。そうしたメリットから1977年の販売開始以降、右肩上がりにユーザーを増やし、現在同製品を採用する企業数は110社以上、累計販売数は約2000万パレットにも上る。

「当社はもともと、扇風機を包装する木箱を段ボールでつくることでスタートしました。以降は木製包装の段ボール化を柱に事業を展開し、その中で誕生したのがナビパレットなんです」と同社社長の大辻誠さんは説明する。

同製品の発案は、同社主力の強化段ボール「ナビエース」の開発に成功したことがきっかけだ。段ボールは通常、2枚の紙の間に波状の紙が挟まった構造をしている。表裏の平らな紙をライナー、波状の紙を中芯というが、それらを特殊な接着剤を用いて強化してから成形したのがナビエースだ。普通の段ボールの2倍以上の圧縮強度を持ち、厚さ3㎜から10㎜まで5種類のバリエーションがある。

客の要望に合わせてオーダーメード

「紙は製紙会社に特注してつくってもらっています。ひと口に紙を強化するといっても、使用する接着剤が機械に適合しなければならないので、配合のバランスを見いだすまでには、ずいぶん時間がかかりました」 強化段ボールの完成により段ボール包装の可能性が広がり、それが具体的な形となったのがナビパレットである。最初のオファーは、エアコンのコンプレッサーだった。従来は木箱で個包装して輸送していたが、かさばってコンテナにたくさん積み込むことができず、その分輸送コストがかかっていた。そこで同社は強化段ボールのコンテナをつくり、その中にコンプレッサーの形に合わせた仕切りを入れて、複数個が一度に入る仕組みを考案し、ナビパレットと組み合わせた集合包装を開発した。 包装する荷物は多岐にわたるため、全てオーダーメードで請け負う。お客の要望を基に設計し、試作品をつくって、圧縮試験、引きずり試験などさまざまな試験を行い、最後に荷物を載せて輸送試験を実施する。全部をクリアしてようやく納品となるため、成約まで早くても半年はかかるという。 「今まで一番苦労したのはピアノですね。アップライトピアノは後ろ3分の1に重心があって一台でもバランスを取るのが難しいのに、輸送の際はそれを3段積みにするので倒れやすいんです。実際、試験中に何度か倒れ、十数台のピアノをダメにしてしまいました。一時はあきらめかけたんですが、先方に『完成するまでつくってほしい』と言われ、何度も設計と検証を繰り返して倒れないものを完成させました。おかげで納品まで1年かかりました」

ニーズに合わせて量産体制を整える

ピアノのほか、大型モーター、自動車用ヘッドライト、最大700㎏もあるフィルムロールなど、同社に舞い込む注文は手間のかかるものが多い。それらの材質や形状、特質などを考慮しながら設計部門と製造部門が連携し、荷物に最適な包装を生み出している。

「段ボールパレットを製造している会社はほかにもありますが、設計から物流までトータルに扱っているところが当社の強みです。包装形態によっては、木製パレットよりも高価になってしまうこともありますが、物流コストまで考えると安く、環境にも優しい。そういう意味では競合他社がないので、営業面ではけっこう強気に出ています」

販売開始以来、同製品は進化し続け、現在は四代目だ。国内外のパッケージコンテストで数々の賞を受賞してきた三代目と形態は同じだが、四代目は2019年に導入した全自動製造機械(特許出願中)によってつくられているという。

「ニーズの伸びに合わせて、量産体制を整えてきました。今ではパレット全体の約50%を無人でつくっていますが、こんな製造方法をとっているのは、世界の中で当社だけじゃないでしょうか」と大辻さんは笑いながら、こう続ける。「ただ、全製品を全自動でつくるつもりはありません。機械より人間がつくるほうが半分程度の時間でできますし、ユーザーによってイレギュラーな注文も少なくないので、そうした一つひとつに丁寧に対応して、満足度の高い製品を提供していきたい」とトップメーカーたるプライドをのぞかせた。

会社データ

社名:中津川包装工業株式会社(なかつがわほうそうこうぎょう)

所在地:愛知県春日井市長塚町2-12

電話:0568-31-6161

代表者:大辻誠 代表取締役社長

設立:1955年

従業員:173人

HP:https://nabiace.co.jp/

※2020年4月1日「ナビエース株式会社」に社名変更。

※月刊石垣2019年12月号に掲載された記事です。

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