現在、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳で、健康寿命とはそれぞれ約9年と約12年の差があります。これはつまり、男性は約9年間、女性は約12年間、何らかの形で医療機関と付き合いながら生活を送ることを意味します。
日本では国民皆保険制度により、公的医療保険の医療費の自己負担割合は1~3割となっています。また、1カ月にかかる医療費の合計は、収入により自己負担限度額が定められており、それを超えた場合は「高額療養費制度」の給付が受けられます。こうした仕組みによって、誰もが小さな負担で高度な医療にかかることができています。
今後も制度自体は続くものと思われます。医学の進歩で治療が簡単になる、AIの導入などで通院が不要、または通院回数が減らせるものが出てくる可能性もあります。しかし、少子高齢化が急速に進んでいることを踏まえると、納める保険料や窓口で支払う医療費の自己負担割合は増えていくことが予想されます。年齢とともに医療にかかる機会は増えていくので、医療保険制度や医療費について基本的な部分だけでも知っておき、不要な出費を抑えていくことが大切です。
例えば、糖尿病を患っている場合、内服治療からインスリン治療へ進めば、医療費は増えます。さらに人工透析が必要になると、費用はより高額となります。一方、生活改善によって寛解すれば、定期的な検査だけで済みます。胃がんが増悪した場合は、開腹手術や放射線治療、抗がん剤治療と、進行するほど医療費は高額になりますが、早期発見できれば、内視鏡や腹腔鏡手術で治癒が可能です。加えて日頃から体力強化に努めていれば、手術後も速やかに生活に戻れます。
このように、普段の健康管理に医療費に関する知識を生かし、日頃から生活習慣の改善、病気の早期発見・早期治療に努めることが、健康的な人生を送れることのみならず、家計にも優しいといえます。また、個人の医療費だけでなく、国全体の医療費にも関心を持って、一人一人が健康状態を維持することが望ましいといえるでしょう。
最新号を紙面で読める!