政府は8月31日、第21回新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、賃金や投資を含む成長と分配の好循環の進め方について議論した。日本商工会議所の小林健会頭は、「労働供給不足は、極めて大きな問題」と指摘。政府に、中小企業の人材確保・育成、従業員のリスキリング促進や、デジタル活用をはじめとした省力化・省人化への支援などを求めた。岸田首相は、今後取りまとめる新たな経済対策において、省人化・省力化投資の支援措置などの抜本的強化や中堅・中小企業による投資促進策の強化を図る方針を示した。
日商の小林会頭は、「労働供給不足は、極めて大きな問題。中小企業の人手不足は深刻化している」と指摘。中小企業の人材確保・育成、従業員のリスキリングの促進に向け、ハローワークや公的職業訓練の抜本的機能強化と、利用促進の取り組みや、デジタル活用をはじめとした省力化・省人化への支援などを求めた。また、外国人材など多様な人材活躍の一層の促進に向け、在留資格など制度の見直しなども要請した。
最低賃金については、「引き上げ額は、法定三要素のデータに基づき、公労使三者構成での審議会で審議・決定することが基本」と改めて指摘。持続的な賃上げに向けては、「労務費を含む価格転嫁を商習慣として定着させることが重要であり、取引適正化を進める官民の努力が不可欠」と述べ、政府に、賃上げ促進税制の繰越控除措置の創設を求めた。
事業承継税制については、「現行の特例措置は、事業の存続を通じて地域経済を支えているだけでなく、経営者の若返りを契機とした中小企業の生産性向上などに大きく貢献している」と、存在意義を強調。「今年度末とされている事業計画の提出期限の延長とともに、2027年末以後も特例措置並みの措置を講じるべき」と政府に強く要請した。
岸田首相は、「最低賃金の安定的な引き上げには、中小・小規模企業の労務費の円滑な転嫁が必要だ」と述べ、年内に、発注者側のあるべき対応を含めた詳細な指針を策定・公表する方針を示した。また、事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、業務改善助成金の四つの補助金などについて、要件緩和を実施するとともに、「今後取りまとめる新たな経済対策において省人化・省力化投資の支援措置などの抜本的強化を図る」との考えを表明。さらに、地方において賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業による投資促進策を強化していく方針を明らかにした。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/gijisidai.htmlを参照。
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記事提供: 日本商工会議所
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