平田商工会議所(島根県)は、創立70周年記念事業の一環として、出雲市平田地域に200年来伝わる民俗芸術「平田一式飾り」の全国コンテスト「BKT(ビューティフル・かざりもの・つくりもの)2018全国大会」を初開催し、10月15~21日、作品を市内で展示公開した。
平田一式飾りとは、陶器・仏具・金物など生活用具一式を使って人物や物語の一部などを再現したもの。1793年に悪病が流行した折、地元の表具師が茶道具一式で大黒天をつくり平田天満宮に奉納して悪病退散を祈願したのが始まりだ。毎年7月に行われる平田天満宮祭では、市民や団体が技巧を競う競技大会も開催されている。
今回の全国大会は、文化の伝承を図るとともに域外へのPRにより広く関心を集め、交流人口増加につなげようという試み。出雲市長賞には平田高校生徒会が陶器一式で制作したゲームキャラクター「マリオ」、平田一式飾り保存会会長賞には同じく平田高校生が制作した「梟~森の賢者」が、平田商工会議所会頭賞にはまちの活性化に取り組む女性グループの作品が選ばれた。
応募作品は14点にとどまったが、商店街の空き店舗やショーウインドーには、自転車部品でつくられたエビやうちわ一式でつくられた出雲なんきん(金魚)など、平田天満宮の常設作品も含めた40点を超える作品が展示され、大勢の人の目を楽しませた。同所は、「今後も貴重な地域資源を伝承しつつ、まちのにぎわい創出に生かしていきたい」と話している。また、「母川回帰」をテーマにした創立70周年記念事業全体を通じ、若年層が戻りたくなるまちづくりに取り組んでいく。
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