コンプライアンスやリサイクルに対する意識が高まる昨今、多くの特定事業者は適切に手続きをし、再商品化義務を果たしていますが、その一方で、意図せずまたは意図的に再商品化義務を履行していない事業者もあります。今回は、再商品化義務を履行していない特定事業者、いわゆる「ただ乗り事業者」について解説したいと思います。
制度に悪影響及ぼす義務不履行事業者
「ただ乗り事業者」とは、容器包装リサイクル法(容リ法)の再商品化義務を履行していない事業者をいい、主に五つに分類されます(図参照)。義務不履行事業者の大きな問題点とは、再商品化義務を適切に履行する事業者に悪影響を及ぼすことにあります。
そもそもリサイクルによる資源循環が円滑になされることは誰にとってもメリットがあります。しかし、そのメリットのために、一部の者だけが委託料を負担すると、全く負担しない第三者も同じメリットを得ることができてしまいます。つまり、委託料を負担しない者も他の事業者の自主的な行為にいわば「ただ乗り」することができるため、容リ法を遵守しリサイクルを促進している義務履行者のインセンティブが失われてしまうという問題が生じます。
「義務を果たそう」 容リ協会が啓発
容器包装リサイクル制度(容リ制度)は、リサイクルに係る総費用について、自主申告による委託料の納付で賄うという事業者の再商品化義務履行への積極的な行動によって成り立つものです。従って、義務を履行しない事業者が横行することは、適切に義務を果たす事業者に不満を生じさせ、容リ制度の維持を阻害することにつながりかねません。
容リ法上、義務違反事業者に対して科される罰則が他のリサイクル関連法に比べ重いことは、「ただ乗り事業者」がいかに問題視されているかを表しているといえます。また、コンプライアンスの観点からも、義務不履行の事実は企業のイメージを大きく損なうものであり、マイナス的な要素にしかなりません。
義務不履行事業者の中には、意図的に義務を履行しない悪質な事業者がある一方で、制度を知らないがために意図せず不履行となっている場合も少なからずあります。日本容器包装リサイクル協会(容リ協会)では、再商品化義務不履行への対策として、各種業界団体への働きかけや訪問などの啓発活動を実施するとともに、容リ協会ホームページにおいて義務履行者リストの公表や容リ制度の解説などを行っておりますので、ぜひご覧ください。
再商品化義務履行者リストはこちら
https://www.jcpra.or.jp/specified/perform/tabid/623/index.php#Tab623
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会▶https://www.jcpra.or.jp/
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