観光庁は3月5日、観光地域づくり法人(DMO)、自治体、観光事業者向けに「観光分野のDX推進に向けた優良事例集~地域一体で進める観光DX~」を作成、公表した。同事例集は「観光DX推進の在り方に関する検討会」の検討結果を取りまとめたもので、「旅行者の利便性向上・周遊促進」「観光産業の生産性向上」「観光地経営の高度化」に取り組む国内外の優良事例を掲載。DX活用の方向性を示すとともに、短期的に取り組みやすい施策なども紹介している。
事例集では、志賀高原(長野県)、箱根町(神奈川県)、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」、バルセロナ(スペイン)、雲南省(中国)、城崎温泉(兵庫県)、福井県、ニセコ(北海道)、バレンシア(スペイン)、日本観光振興協会、ロンバルディア州(イタリア)の取り組みを紹介。先進事例を参考にした地域一体となったDX推進の活動が、観光地を核とした地域活性化の好循環につながることに期待を示している。
箱根町では、交通機関・渋滞・駐車場の満空情報をリアルタイムで可視化し、最適な周遊ルートと観光資源を表示・推奨するデジタルマップを導入。旅行者の行動変容につなげ、オーバーツーリズムの未然防止・抑制と消費拡大を両立した。また、さまざまな方法で収集した地域の多様な観光関連情報を地域データベースに集約し、人流予測などの知見を事業者に提供するとともに、観光地でデータを活用した施策を推進している。
ニセコエリアでは、体験アクティビティを一元予約するシステムを導入したことで、体験アクティビティ事業者の収益増・宿泊事業者の生産性向上を実現。地域の飲食・交通・宿泊などの情報を集約し、地域の需給を提供することで、データを使った事業者の高度な経営判断を支援している。
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