室蘭商工会議所(北海道)はこのほど、「企業紹介 人材募集PRサイト」の2024年卒業生向け版を公開した。同事業は製造業と建設業において、人材不足が課題となった20年度から始めたもので、ものづくり業界のイメージアップや入職のきっかけづくりを目的としている。サイトだけでなく冊子も作成し、室蘭市内の中学、高校や専門学校、道内の建設・製造関連の学科のある大学などに配布してきた。サイト、冊子への掲載を希望する企業は年々増え続けている。
室蘭市内の建設業者では特に若年労働者の不足が著しい。高齢化も進んでいることから技能伝承も課題となっており、人材確保が火急の課題となっている。また、室蘭市には鉄鋼業、造船業、機械・金属加工業などの企業の拠点があり、「ものづくりのまち」として100年以上発展してきたが、それを支える高度な産業技術と巧みな技能を受け継ぐ人材を確保できていない企業も多い。
同サイトでは、建設業者21社、製造業者34社の企業紹介が掲載されている。紹介ページはいずれも同じフォーマットで企業概要、アピールポイント、どのような人材を募集しているか(高校卒、短大・専門学校卒、大学卒、中途)、募集人材・学生へのメッセージを掲載し、学生目線で企業の特徴を比較しやすくなっている。また、学生向けに同サイトの二次元コードを貼り付けたチラシも作成し、スマホでも簡単に閲覧してもらえるよう工夫した。
市内企業からの要望があり、今後は製造業・建設業に限らず、全業種での企業紹介サイト、冊子の作成も考えているとのこと。同所の担当者は「室蘭市内の工業高校では学科の再編により定員が80人から40人に減少した。市内の大学も1校のみであり、人材は札幌のような都市部や道外に流出してしまうことが多い。このような厳しい環境の中でサイトの公開と冊子の配布が、市内企業を知ってもらうきっかけとなり、少しでも地元企業への就職につながればよい」と話している。
最新号を紙面で読める!