中村商工会議所(高知県)などで構成する土佐一條公家行列「藤祭り」実行委員会は、5月3日、「第30回土佐一條公家行列『藤祭り』」を開催した。「藤祭り」は室町時代から戦国時代にかけての関白、一條教房(のりふさ)が応仁の乱を逃れるため、京都から荘園のあった中村地域へ下向した際の様子を再現した祭りで、1992年から行われている。
藤祭りのメインイベントである「公家行列」は、土佐一條家ゆかりの京都の「葵祭り」から着想を得たもので、およそ130人が色鮮やかな装束を身にまとい、毎年選ばれる土佐一條家2代目房冬(ふゆふさ)の妻「玉姫」役の女性を中心に、神社や商店街などまちの中心部約1・5㌔㍍を練り歩き、観客たちを魅了した。「公家行列」開始前には、「巫女の舞」や伝統の一條太鼓、幡多農業高等学校による物産市や中村中学・高等学校音楽部によるマーチングなどが開催され、イベントを楽しみながら「公家行列」を待ちわびる大勢の観客でにぎわった。
同所がある四万十市中村地域は「土佐の小京都」とも呼ばれ、土佐一條家の下で現在の高知県西部の幡多地域の中心地として発展を遂げたため、現在でも土佐一條家は市民に親しまれている。そして、土佐一條家にまつわる「藤祭り」も長年地域に愛されてきた。しかし、近年はスタッフや商店街の高齢化による人手不足が課題となっている。同所担当者は「藤祭り開催30回を機に、スタッフの若返りや内容の見つめ直しなどブラッシュアップを行い、今後さらなる商店街活性化や交流人口の増加につなげ、地域や観光客から求められるイベントにしていきたい」と語った。
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