コロナ禍の中、ゾンビ先生は愕然(がくぜん)とした。2020年8月31日、地元大津の西武百貨店が無くなるというのだ……。かつては日本中にあり、人々の生活を彩ってきた「地方の小さな百貨店」は、徐々にその数を減らしている。
そんな「閉店する地元の百貨店」から生まれた小説が『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈著、新潮社)だ。24年本屋大賞を受賞した本作。読み始めると、その描写の細かさに驚愕(きょうがく)した。著者が同世代で大津に住んでいる共通点もあると思うが、「知らない間に自分が書いたのでは……」というおかしな妄想に陥るレベルで共感の嵐。
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