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アジアの風〜ビジネスの先を読む〜 消費の指標はクリスマス

ホーチミン市内の繁華街に飾られたクリスマス・デコレーションを半袖姿で楽しむホーチミンの若者たち

年明けにクリスマスの話をするのは時候をわきまえないことではあるが、お許しいただきたい。昨年12月にバンコク(タイ)、ヤンゴン(ミャンマー)、ホーチミン(ベトナム)を2回にわたって回る機会があり、それぞれの都市がどのようにクリスマスを迎えるのか、比較できた。その中で最もクリスマスムードにあふれていたのはホーチミンだ。大きなショッピングモールはもちろん庶民向けの商店街にもクリスマスの飾り付けをした店を見ることができた。数年前と比べると、クリスマスを祝おうという気持ちの余裕が市民から感じられた。バンコクはもちろん都市でみれば1人当たりのGDPが1万ドル前後の豊かな街で、繁華街にはサンタクロースやクリスマスツリーを見かけることができるが、市民が慣れっこになっているのか、以前よりクリスマスを楽しむ空気は薄い。

ミャンマーは1人当たりのGDPがまだ1300ドル台で、最大の都市ヤンゴンといえども、まだクリスマスの飾り付けやジングルベルのメロディは高級ホテルやショッピングモールに限られる。

国の経済水準が高まると宗教が何であれ、例外なくケーキやプレゼント、ツリーなどでクリスマスを祝うようになる。国民に楽しみを増やそうという余裕が出てくることに加え、消費活性化を狙う企業が国民をクリスマスにかき立てるからだ。そのレベルは1人当たりのGDPに比例するが、ある段階に達すると特別な感覚が薄くなり、次第に多くの年間イベントの中に埋没するようになる。

日本では高度成長期やバブル期に熱心だったクリスマスも、最近はすっかりおとなしくなり、イブの夜にケーキを売り切ろうと必死に声をあげる店はなくなった。代わって最近は、ハロウィーンに熱をあげる若い世代が多く、昨年のハロウィーンでは暴走した若者が事件も引き起こした。

中国でも、12月に入るとまち中にクリスマスの飾りが目立つようになったのは、2000年代初頭だった。今も上海などでは派手な飾り付けが目立つが、昔のような必死さはなく、地に足が着いたクリスマスになっている。 ホーチミンは高度成長期の真っただ中故に、これからしばらくは毎年毎年、派手になっていくだろう。

キリスト教文化がそれほど根付いているわけでもないアジアの国々がクリスマスの本質を理解していないとしても、クリスマスによって自らの経済水準を確認し、そのハードルを越えると、次のイベントを探しているようにみえる。

後藤 康浩(ごとう・やすひろ) 亜細亜大学 都市創造学部教授 早稲田大学政経学部卒、豪ボンド大学MBA取得。1984年日本経済新聞社入社、国際部、産業部のほかバーレーン、ロンドン、北京などに駐在。編集委員、論説委員、アジア部長などを歴任した。2016年4月から現職。アジアの産業、マクロ経済やモノづくり、エネルギー問題などが専門

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