広島県福山市は、全国的に有名な琴の産地。生産される福山琴の歴史は古く、江戸初期までさかのぼる。備後10万石の城下町・福山は、歴代藩主の奨励により、歌謡や楽曲などの芸事が盛んな土地柄であったことから、特に江戸末期に琴の名手、葛原勾当が活躍すると、琴の需要が一気に高まったという。また正月によく耳にする名曲「春の海」は筝曲家・宮城道雄の作曲で、宮城の父親の出身地である福山・鞆の浦が舞台と言われる。
1985年、楽器として初めて国の伝統的工芸品の指定を受けた福山琴は、今年指定40周年を迎えた。「大切にしたい日本の手仕事」として、福山邦楽器製造業協同組合の6社が、今なお、その伝統をしっかり守っている。毎年11月「備後ふくやま伝統産業展」に出展し、琴の展示や演奏体験、ミニ琴柱(ことじ)ストラップのワークショップなどを開催。中でも琴の演奏体験は子どもから大人まで大人気の企画で、初めて弦を弾いた際、その音色の美しさに驚く人も多いという。
同組合では今後、小学生から高校生を対象にした琴に関する講座やミニ琴の製作体験などの教育事業も積極的に展開していく予定にしており、同組合の藤井善章理事長は「福山は琴の産地で、琴職人というやりがいのある仕事があると小さい頃から知ってほしい」と語る。
お問い合わせ
福山邦楽器製造業協同組合
所在地 : 広島県福山市西町2-10-1
電話 : 084-921-2349
HP : https://www.fukuyama.or.jp/promotion/traditional/fukuyamakoto/kumiai/
