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身の丈ITで生き残れ! vol.6

オムロン 執行役員 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 営業本部本部長 尾武宗紀さん

ものづくりの現場に制御技術、コントロール技術、AI(人工知能)などを活用して自動化するFA(ファクトリーオートメーション)に力を入れるオムロンが、中小企業の現場を革新する提案を行っている。その象徴が作業員と一緒に働く小型の「協調ロボット」だ。オムロンの尾武宗紀さんに、中小企業のFA化の可能性について聞いた。

協調ロボットを1台導入し作業員の穴を埋める

オムロンが掲げた製造現場を革新する戦略コンセプト「i‒Automation!」は、三つの「i」、integrated(制御進化)、intelligent(知能化)、interactive(ヒトと機械の新しい協調)から成り、この三つの「i」により、匠の技を誰もが簡単に実現すること、機械が⾃ら学習し進化し続ける⽣産ラインを構築すること、機械が⼈を理解し支援すること、人と機械が協調して働く生産現場を実現することを目指す。

なぜ三つの「i」が必要なのか。オムロンの尾武宗紀さんは次のように話す。 「大企業、中小企業を問わず人手不足が深刻化する一方、顧客の多様化するニーズに応じた多品種少量生産、生産品目の変更や需要変動に合わせた生産ラインのレイアウト変更、立ち上げなどが求められているからです」

大企業であれば資金力や技術力で対応できるかもしれないが、中小企業にはそれも難しい。

「そこで当社は、大企業と取り組んでいる『ものづくりの革新』から得た知見を、中小企業向けにコンパクトにまとめてご提供できないかと考えたのです」

象徴的な例が「interactive」だ。生産現場へのロボットの導入と聞くと安全柵の中で動く大型の産業用ロボットをイメージするが、オムロンは単腕型の協調ロボット「TMシリーズ」の導入を提案している。協調ロボットとは、人とロボットが一緒に働くように設計された安全性の高いロボットのこと。「TMシリーズ」は、ロボットハンドなどが簡単に接続・付け替えができる「Plug&Playソフトウエア」や、ロボット言語などの専門知識を必要とせず、ロボットアームを手動で動かすだけで動きを記憶し設定できる「ダイレクトティーチング機能」を搭載しているため、誰でも簡単に操作ができる。

「例えば、食品工場の弁当のラインでパートの方々が並んで作業をしているとします。ある人が急に休んだとき、協調ロボットを代役として空いた作業場所に置いて働かせることができます。作業の段取りも数分という短時間で覚えさせることができるので、ラインを長い時間止めることもありません」

自動搬送モバイルロボット「LDシリーズ」はもちろん単体でも使える。主な用途は「製造現場内の物流」の担い手だという。

「製造ラインへ部品を運ぶというような単調な搬送作業は絶対に必要なのですが、誰も積極的にやりたいとは思いません。それをモバイルロボットに任せることで作業員の仕事の効率が上がります」

いくら人手不足とはいえ、いきなり何十台ものロボットを導入してラインを無人化することは資金面で難しいし、うまく稼働しないというリスクも気になる。そこで尾武さんは「スモールスタート」を提案する。まず1台をレンタルして使ってみるという方法だ。

匠の技をアプリで実現データの活用で生産性改善

「integrated」は、「匠の技を簡単なパッケージソフトにして提供する」もので、機械の操作に関する深い知識がなくても使えるアプリが150ほどもある。例えば制振制御アプリケーションを使うと、液体を揺らさずに運ぶことができる。乳業メーカーではヨーグルトをパックする工程で使用。「すぐにパックに取り掛かれるので、工程作業時間が大幅に短縮できます」。

「intelligent」では、データを最大活用して、学習・進化するものづくりを実現する。入り口は「工程のボトルネックの見える化」のようなテーマが分かりやすい。オムロンの工場で実証実験した結果、生産性が30%改善され、改善点の抽出時間が6分の1に短縮されたという。

「身の丈FA」から入り、現場の困りごとを解決しながら経験を積むことで、人手不足や熟練工の退職といった根本的な課題解決の糸口を見つけることができるだろう。

会社データ

社名:オムロン株式会社

所在地:京都府京都市下京区塩小路通堀川東入

代表者:山田義仁 代表取締役社長

従業員:35090人(グループ)

〈同営業本部〉

所在地:東京都港区港南2-3-13 品川フロントビル7F

電話:03-6718-3404

HP:https://www.omron.co.jp/

※月刊石垣2019年10月号に掲載された記事です。

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