日本商工会議所は6月2〜4日、北海道商工会議所連合会と共に「全国商工会議所観光振興大会2026in北海道」を、初となる道内4都市の分散・同時開催形式で実施した。今回の開催テーマは「有機観光新産業〜全ての事業活動×観光=新産業創造〜」。全ての事業活動を「観光」というフィルターで有機的に結びつけ、新たな産業創造へとつなげることを目指している。3日の全体会議では、地域の持続的発展の実現に向け、各商工会議所がそれぞれの地域における有機観光新産業の結節点として、持続可能な観光地づくりを進めていくことを決意する「北海道アピール」を採択した。
同大会は全国の商工会議所関係者が地域を越えて交流を深めるとともに、観光を通じた地域振興などについて学び、各地域での活用につなげることを目的に2004年度から開催している。21回目となる今回は、旭川市、釧路市、札幌市、登別市の4都市に分かれた初めての分散・同時開催形式で実施。全国214商工会議所・連合会から約1300人の参加申し込みがあった。
3日の全体会議であいさつした日商の小林健会頭は、観光が幅広い産業への経済波及効果や歴史・文化の保全といった社会的効果をもたらすことから、「『地方創生の切り札』として、地域活力の維持・向上に不可欠な国家の基幹産業と位置付けるべき」と強調。地域の歴史、文化、自然、地場産業といった質の高い資源を最大限に活用することの必要性を述べ、「観光産業は他産業との連携や新たなブランド形成を通じて、より高い付加価値を創出する産業へと転換していかなければならない」と訴えた。
また、適切な価格転嫁の下で観光産業の「稼ぐ力」を最大化し、その恩恵を地域へくまなく波及させることで次世代への投資が自律的に循環する「強靭な観光地域づくり」の重要性を指摘。その実現に向けて、各地商工会議所が結節点となり、行政やDMO、農林水産業など多様な主体と連携した「価値共創」の取り組みを推進していくことが不可欠との認識を示すとともに、「全国の商工会議所が一丸となって取り組んでいこう」と呼び掛けた。
全体会議に先立ち、2日にはアクティビティーやコンテンツなど、地域の実情に応じたテーマに関する分科会などを各都市で開催。翌3日の全体会議では日商の志岐隆史観光・インバウンド専門委員長による「25年度きらり輝き観光振興大賞」の総評や各地域で目指すべき観光振興の方向性についての報告、同賞の表彰式を実施した。さらに、大賞を受賞した大野商工会議所(福井県)の事例発表や各開催都市からの成果報告などを行うとともに、観光による新産業創出を目指す「北海道アピール」を採択した。
次回大会は、2027年10月27〜29日に長野県松本市で開催する。
北海道アピール 有機観光新産業~全ての事業活動×観光=新産業創造~
われわれは、ここ北海道の地において、「有機観光新産業~全ての事業活動と観光の結びつきによる新産業創造~」をテーマに掲げ、全国商工会議所観光振興大会2026in北海道を開催した。
観光は、幅広い産業への需要創造・雇用創出による経済波及効果や、地域資源の保全、郷土愛の醸成など、さまざまな社会的効果をもたらす、わが国の基幹を成す産業である。
中でも有機観光新産業は、観光が有する多面的な効果を触媒として地域の多様なプレーヤーが結びつくことで、シナジー効果やイノベーションを新たに生み出し、地域の持続的発展の実現に寄与するものである。
本大会は、各地が抱える具体的な課題を提示・検討するため、史上初の試みとして道内4都市で開催された。各会場からの成果報告を通じ、観光とさまざまな有機観光新産業を発展させていく上で事業活動の緊密な連携が観光需要の創造と地域資源の付加価値向上に大いに寄与することを改めて確認した。
全国には商工会議所の数だけのデスティネーション(Destination)があり、各商工会議所がそれぞれの地域における有機観光新産業の結節点として持続可能な観光地域づくりを進めていくことを期して、北海道大会では以下のアピールを行う。
1.通年型・滞在型観光への取り組みによる「稼ぐ観光」への転換
商工会議所および行政、地域DMOなどの関係機関が発信する情報の一元化や、来訪者への安心・安全に資する情報提供を図るとともに、平日需要の喚起や長期滞在に向けた魅力的な観光コンテンツを造成することなどにより年間を通じた安定的に観光需要を創出することを通じて、「稼ぐ観光」を促進する。
2.デジタル化・DXの推進や2次交通の充実による観光需要の取り込み
AIの活用などデジタル化・DXの推進による各種プロモーションツールの多言語対応や2次交通ネットワークの整備など、来訪者がストレスを感じることなく快適に旅行できる環境の整備を地域DMOと連携し、新たな観光需要を取り込む。
3.地域資源のコンテンツ化による魅力創造
地域に根差した食や文化・歴史、自然・景観などの資源を来訪者にとって価値あるカタチに変換し、旅の体験を深める新たなコンテンツを造成することなどにより、観光を含む地域産業の新たな魅力を創造する。
4.多様な主体が地域社会で共生する観光地域づくり
文化・歴史などの違いを超えた相互理解を図ることにより、地域社会が多様な背景を持つ住民と共生し、来訪者を円滑に受け入れる、多様性に満ちた持続的な観光地域づくりに取り組む。
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