名古屋市のベッドタウンとして、また、大規模な工業団地を擁する工業都市として発展してきた岐阜県可児市。近年は外国籍住民や移住者も多く、多様な文化や価値観を持つ人々が共生するまちである。この地で活動する可児商工会議所青年部(以下、可児YEG)は、2026年に40周年を迎える「可児夏まつり」の運営を担う一方で、AI(人工知能)を活用した取り組みにも挑戦している。「変わらない本質」と「変わる私たち」のスローガンが礎の活動をリポートする。
ゼロからつくり上げた「可児夏まつり」の誇り
可児YEGの活動の最大の柱であり、地域の代名詞ともなっているのが、2026年で40周年という大きな節目を迎える「可児夏まつり」である。この祭りの最大の特徴は、行政主導ではなく、斎藤健太郎実行委員長を中心とするメンバーが企画・設営から当日の運営、片付けに至るまで、全て自分たちの手でつくり上げ、青年部主体で手掛けている点にある。
その歴史は決して順風満帆ではなかった。かつて花火の爆発事故という祭りの存続を揺るがす苦難に見舞われたが、歴代の可児YEGメンバーによる「地域の活力と伝統を絶やしてはならない」という強烈な使命により、保安距離を確保した「小型煙火(えんか)(噴き上げ花火)」に姿を変えて見事に復活を遂げた。近年では、猛暑対策として開催時期を8月から9月に変更したり、市内のメイン道路を大胆に封鎖した歩行者天国を実施したりするなど、時代と環境の変化に合わせた柔軟な運営を続けており、地域からも絶大な信頼を集めている。
キャラクター誕生のドラマとデジタル部員への進化
可児YEGを語る上で欠かせないのが、公式キャラクター「バラんまる」の存在だ。じつはバラんまるの誕生には、当時委員会を立ち上げたOBの溝口広明さんらを中心に、知られざる熱いドラマが隠されている。
約15年前、可児YEG公式キャラクターの一般公募により、256点もの作品の中からバラんまるが選ばれた。しかし、別の応募作品にも同じ名称があり、調整を要したことや、着ぐるみ制作を依頼した業者が納期直前のタイミングで「間に合わない」と連絡してくるなど、誕生までの道のりは困難を極めた。当時の担当メンバーが制作業者の事務所に泊まり込み、徹夜で仕上げを手伝うという“生みの苦しみ”を経て、ようやくお披露目に至ったのである。
可児YEGの努力の結晶ともいえるバラんまるは今、デジタルの世界で驚くべき進化を遂げている。若山義史副会長らがコロナ禍に制作を手掛けたLINEスタンプが、今も現役で活躍し、さらに岐阜県商工会議所青年部連合会の第23回岐阜県連大会可児大会では、伊藤寛氏(Shepherd・AI経営支援)が開発した、問い合わせに自動応答する「AIバラんまる」が登場し、大きな話題を呼んだ。将来的にはAIバラんまるを「デジタル部員」として正式にメンバーへ迎え入れるという、これまでにない革新的な構想も描かれている。
