大阪市に隣接し、JR学研都市線住道駅などの各駅を中心に、昼夜人口比率がほぼ1対1という活気ある職住近接の工業都市としての顔を持つ大阪府大東市。どこか「ちょうどいい片田舎感」を残すこのまちで今、大東商工会議所青年部(以下、大東YEG)が周囲の単会も驚くほどの圧倒的な結束力を見せている。単なる親睦の枠を超え、次世代の育成と選ばれるまちへの変革に真っ向から挑む、大東YEGの熱き活動の軌跡に迫った。
他単会も目を見張る驚異的な出席率
大東YEGの最大の特徴であり、強みとなっているのが、他単会からも驚嘆されるほどの「仲の良さ」と「アクティブ率の高さ」である。現在の会員数は56人であるものの、各種事業や定例会への出席率は80%近くに達する。
この強固な組織をけん引する大東YEGの田中喬之(たかゆき)会長は、実は大東市の出身ではない。2017年の結婚を機に転居した、いわば移住者である。しかし、YEGの活動を通じてこのまちの奥深い魅力に触れ、大東を「ただ住む場所」から「自分たちの手で良くしていきたいまち」へと意識が劇的に変わったという。「大東YEGには、外からやって来た人間を温かい雰囲気で自然に受け入れ、仲間へと変える包容力がある」と田中会長は誇らしげに語る。
さらに、大東正明監事も「大東YEGの強みは、なんと言ってもアクティブ率の高さです。事業の目的が明確で共通意識があり、何よりも自分たちが本気で楽しんでいるからこそ、これだけのメンバーが集まるのです」と胸を張る。内輪で盛り上がるだけでなく、外に向かって開かれたこの仲の良さこそが、困難な大事業をも成功へと導くための最も強固な土台となっているのである。
職人が教える職業体験の熱量と生きた経済
そんな彼らの結束力が見事に結実し、大東YEGの代名詞ともいえる事業が、22年に産声を上げた「大東YEGフェスティバル」である。コロナ禍に、「地域の若手経営者である自分たちに、今何ができるのか」という切実な問いから生まれたプロジェクトだ。そして、同フェスの最大の目玉となっているのが、単なる遊びやシミュレーションの枠を超えた子ども向けの本格的な職業体験型イベント「キッズワーク」である。地元企業のプロフェッショナルたちが直接講師を務め、その指導の下実際に仕事を行い、「YEG紙幣」という独自の通貨を稼ぐ。自ら稼いだその紙幣を使って、会場内に立ち並ぶマルシェやキッチンカーで実際に買い物ができ、生きた経済の循環サイクルを肌で体験できる画期的な内容となっている。特筆すべきは、その徹底した本物志向だ。ある地元の小学校校長は、「地域で実際に働く本物の職人さんと子どもたちが直接触れ合い、仕事の厳しさや楽しさを伝えてくれることにこそ大きな意味がある」と最大級の賛辞を寄せる。
このキッズワークの本物志向を象徴するエピソードがある。ある年のフェスで、「バーテンダー体験」の参加を楽しみにしていた子どもがいたが、大人気のあまり定員に達してしまった。諦め切れなかったその子どもは、バーテンダー体験を実施していたお店へ商工会議所経由で「どうしても体験したい」と伝えました。その熱意に心を動かされた出店者は、後日開催された別のイベントへ招待し、子どもは念願だったバーテンダー体験を実現できたのである。子どもの「やってみたい」という強い思いが大人を動かし、新たな挑戦や地域とのつながりを生み出したこの出来事は、大東YEGが目指す“本物志向”のキッズワークと地域貢献を象徴する事例として語り継がれている。
